AAVEが4週間で45%上昇し、時価総額上位100の他の暗号資産を凌駕した理由
  • AAVEのトークノミクスとプロトコルのリスク管理を見直すことを目的とした提案は、この暗号資産に対する投資家の関心を喚起したとオブザーバーは述べた。
  • このアンブレラと言われる提案は、市場におけるAAVEのセルサイドの圧力を緩和する可能性があるとアルカのリサーチ責任者ケイティ・タラティ(Katie Talati)氏は述べた。

分散型暗号資産(仮想通貨)レンディング・プラットフォーム、アーべ(Aave)のネイティブトークンであるAAVEは、4週間で45%上昇して135ドルに達し、マーケットリーダーのビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)を含む、時価総額上位100の他のすべての暗号資産を凌駕している。

Coingeckoによると、AAVEに対する投資家の偏りは大きく、ヘリウム(Helium)のHNTが26%の上昇で2位だった。

AAVEの価格上昇は、Aave Chan Initiativeの創設者マーク・ジラー(Marc Zeller)氏が、プラットフォームの余剰収益の一部をエコシステムの重要な関係者に分配し、流通市場からトークンを買い戻すための手数料スイッチを提案した後の7月下旬に始まった。

「アーべは、プラットフォームが生み出す余剰収益をステイカーに再分配するために『手数料スイッチ』を作動させる可能性があるとの憶測があった。これは、余剰収益を使ってトークンを買い戻し、AAVEのステイカーと同社のステーブルコインであるGHOのマイナーに再分配するプロトコルの可能性について、ガバナンスのフィードバックを求めることを目的とした提案に続くものだ」とロンドンを拠点とする暗号資産データプロバイダーのCCDataのリサーチリード、ジョシュア・デ・ヴォス(Joshua de Vos)氏はCoinDeskに語った。

「これは、AAVEの保有とステーキングに新たなインセンティブを与える可能性があり、プロジェクトを取り巻く市場センチメントを押し上げた」とヴォス氏は付け加えた。

別の提案では、AAVEの価格に悪影響を与える「差し押さえと売却(seize and sell)」の清算プロセスを、アーべのステーブルコインであるGHOとプロトコルに預けられた資産を表すaTokensの「差し押さえと焼却(seize and burn)」メカニズムに置き換えることを求めた。

デジタル資産投資会社アルカ(Arca)のリサーチ責任者ケイティ・タラティ(Katie Talati)氏によれば、この「アンブレラ(Umbrella)提案」は、市場におけるAAVEに対するセルサイドの圧力を緩和する可能性があるという。

「この提案はアンブレラと呼ばれる新しいシステムを構築することを目的としており、プロトコルの『不良債権』(ポジションが清算されたときに担保が清算コストをカバーできない場合)をカバーするために、AAVEのみを使用するのではなく、さまざまな資産を使用する。したがって、新しいシステムはAAVEの売り圧力をいくらか和らげるだろう」とタラティ氏は7月下旬のメモで述べている。

Web3エージェンシーのDeelabsはXで、買い戻しは市場に持続的な強気圧力を生み出し、アンブレラは清算中のAAVE価格への悪影響を排除すると説明した。「これは表面的なものに過ぎない。この提案にはまだ多くのことがある」とDeelabsは述べている

AAVEのトークノミクスとプロトコルのリスク管理を見直すことを目的としたこれらの提案は、トークンに対する機関投資家の関心を喚起したとアルゴリズム取引会社ウィンターミュート(Wintermute)は述べた。

トークノミクスのアップデートに関する議論により、7月にこのプロトコルに注目が集まり、一般的に暗号資産全般の成長を追跡する「ブルーチップ(優良な)」DeFi資産と見なされている。さらに、大規模な資金が割り当てられ、投資家向けにリサーチノートが作成された」とウィンターミュートはCoinDeskに語った。そして、「我々はまた、エクスポージャーを得たい機関投資家のカウンターパーティから、同様のOTC資金が流入するのを目にしている」と付け加えた。

アーべはまた、過去4週間で獲得した収益と手数料の点でトップのプロトコルだ。TokenTerminalのデータによると、Aaveは2700万ドル(約39億1500万円、1ドル=145円換算)以上の手数料を生み出し、他のプロトコルを圧倒している。

そのため、暗号資産コミュニティでは、このトークンは過小評価されていると考える人もいる。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Aaveはフィンランド語で幽霊の意味だ。(Metis)
|原文:Aave Token Has Beaten the Market With a 45% Price Surge. Here’s Why