- インドのリテール向けCBDC試験運用は、16もの銀行が参加し、利用者は500万人を超えた。
- インドの中央銀行総裁は、本格的な導入を回避する可能性を示唆している。
インド準備銀行(Reserve Bank of India:RBI)のシャクティカンタ・ダス(Shaktikanta Das)総裁は、リテール向けの中央銀行デジタル通貨(CBDC)の試験的な利用者は500万人を超えたが、金融システム全体へのCBDCの展開を急ぐ必要はないと、8月26日にベンガルールで開催された会議で述べた。
インドのリテールおよびホールセールのCBDC計画は、2022年の財務大臣予算演説の一部として発表された。2022年末までにRBIは2つのCBDCの試験運用を開始した。2023年末までに、リテールCBDCは銀行からのわずかな助けを借りて、少なくとも1日に100万件の取引を達成した。
ダス総裁は26日、現在16行もの銀行がリテールCBDCの試験運用に参加していると述べたが、1日の取引件数については明らかにしなかった。
RBIは以前から、本格的なリテールCBDCの導入を急いではいないと述べており、スケジュールも明らかにしていない。今回もダス総裁は本格的な実施を回避する可能性を示唆した。
「CBDCの実際の導入は段階的に進めることができる」とダス氏は述べた。「ユーザー、金融政策、金融システム、経済への影響を包括的に理解するまで、システム全体にCBDCを展開しようと急ぐべきではないことを強調しておく」。
2023年の開始以来、RBIはオフライン決済とプログラマビリティを模索しており、ダス氏はテスト中だと述べた。
「CBDCのプログラマビリティ機能は、対象ユーザーへの資金の配送を確実にすることで、金融包摂の重要な促進要因となる可能性がある」とダス氏は述べ、最近の試験運用の一環として開始された農家に関わる2つのユースケースを指摘した。農業資材の購入の最終用途をプログラミングして農家の身元を確立し、銀行を安心させることと、農家が炭素クレジットを生成することを目的とした資金を得ることだ。
ダス氏はまた、「匿名性やオフラインでの利用可能性などの機能をテストすることを目的とした新しいユースケースは、徐々に展開する予定だ」と述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:2022年10月のG20に出席したインド準備銀行のシャクティカンタ・ダス総裁(左から2人目)とニルマラ・シタラマン財務大臣(右から2人目)。(Indian Ministry of Finance)
|原文:India’s CBDC Has 5M Users, Can be Phased in Gradually: Central Bank Governor