米証取委、未登録証券の販売をめぐりアブラと和解
  • 暗号資産プラットフォームのアブラは、未登録証券の告発に関して米証券取引委員会との和解に同意した最直近の企業である。
  • 和解は同社のアブラ・アーンという商品に焦点を当てたもので、同社によれば同商品は一時5億ドルもの収益を上げたという。

プルータス・レンディング(Plutus Lending)が所有するプラットフォームであるアブラ(Abra)が、登録が必要な証券に該当する商品であるにもかかわらず、顧客に対してアブラ・アーン(Abra Earn)を不適切に販売したとの告発をめぐり、米証券取引委員会(SEC)は同社が和解に合意したと、現地時間8月26日に発表した。

SECは訴状の中で、暗号資産(仮想通貨)投資プラットフォーム兼貸付業者である同社は2020年より顧客にアブラ・アーンを提供し始め、顧客資産を同社に使わせることで高い収益を約束していた、と述べていた。一時、同プログラムには約6億ドル(約865億円、1ドル=144円換算)が集まり、そのうち約5億ドル(約720億円)は米国の投資家からの資金だった。また、SECによると、アブラは少なくとも2年間、未登録のまま投資会社として運営されていた。

容疑を認めも否定もせずに制裁を受け入れた同社は、米国の証券登録規則に違反することを禁じられ、裁判所が適切とみなす民事罰に同意した。同社はすでに、無免許営業で25州と和解しており、米国の顧客に最大8200万ドル(約118億円)を返還することに同意している。

「アブラは、投資家が出資前に十分で正確な情報を得て、十分な情報に基づいた判断を下せるようにするための登録法に従わずに、米国の投資家に5億ドル(約720億円)近くの証券を販売した」と、SEC執行部のアソシエイトディレクター、ステイシー・ボガート(Stacy Bogert)氏は声明で述べた。同氏は、SECが「表面的なラベルではなく、経済の現実」に基づいて運営されていると付け加えた。

アブラ側の弁護士からは、コメントの求めに対する即座の回答は得られなかった。

現地時間8月26日の措置は、アブラが2020年にスワップ商品に関する調査を終了するためにSECと商品先物取引委員会にそれぞれ15万ドル(約2100万円)を支払うことに同意した後、SECと行った2度目の和解となる。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk
|原文:U.S. SEC Settles with Abra Over Unregistered Sales of Securities