東京ガールズコレクションのプロデュースを手がけるW TOKYOやアソビシステム、ツインプラネットなどの複数企業が設立した合弁会社のYOAKE entertainmentが、ブロックチェーン技術を活用した新たなエンターテインメントプロジェクトを始動する。同社は、秋元康氏を総合プロデューサーに迎え、スターテイル・ラボを率いる渡辺創太氏などが取締役に就任している。
YOAKE entertainmentは9月7日に開催した『第39回 東京ガールズコレクション 2024 AUTUMN/WINTER』において、『MEN’S YOAKE AUDITION 2024』と『IDOL RUNWAY COLLECTION Supported by TGC』の2つのプロジェクトを発表。特に前者では、ソニーが発表したイーサリアム(Ethereum)レイヤー2ブロックチェーン「Soneium(ソニューム)」を採用すると述べた。
ファンの活動が直接支援に
リリースによると、『MEN’S YOAKE AUDITION 2024』は、秋元康氏プロデュースのもと、Web3テクノロジーを活用したグローバルなエンターテインメントとして始動するという。グローバル展開を視野に入れたメンズアイドルグループの結成を目指しており、2024年9月7日から募集を開始し、合格者は2025年3月の「第40回 東京ガールズコレクション 2025 SPRING/SUMMER」でお披露目される予定だ。
YOAKE entertainmentは、このプロジェクトにおいてWeb3技術を活用し、Soneiumを基盤としたトークンエコノミーの構築を計画している。具体的には、ファンダムアプリの構築を通じて、ファンの活動(楽曲視聴、グッズ購入、イベント参加など)が直接アイドルの支援につながるエコシステムの実現を目指しているという。
Soneiumは、ソニーグループと、YOAKE entertainmentの取締役でもある渡辺創太氏が率いるスターテイル・ラボの合弁会社、Sony Block Solutions Labsが手がけるイーサリアムL2ブロックチェーン。8月末に開催されたWeb3カンファレンス「WebX」では、テストネットの稼働とインキュベーションプログラムのスタートを発表している。
Sony Block Solutions Labsは、Web3の基盤となるブロックチェーンを開発することで、部分的なサービス提供に留まらず、インフラからアプリケーションレイヤーまで包括的なWeb3ソリューションの提供をアピールしている。
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Web3×日本発アイドルカルチャー
YOAKE entertainmentは、「ブロックチェーン技術により、ファンとアイドルの関係を根本的に変える革新的な手法を提供し、世界中のファンが地域や言語の壁を超えてアイドルグループを応援することを可能にします」とリリースに記している。
トークンを活用したアイドルの創出やファンコミュニティへのトークンの導入、さらにはグローバルなエンターテインメント経済圏の確立は、日本特有のカルチャーとして注目を集める「アイドル」の世界展開と、Web3技術を駆使した新たな形態のビジネスモデルを同時に推進するものと言える。
IEOで10億を超える資金を集めたアイドルプロジェクト「IDOL3.0 PROJECT」から誕生したグループ「WHITE SCORPION」は、8月末に開催されたWeb3カンファレンス「WebX」でパフォーマンスを披露。
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日本発のNFTアイドルユニットを謳う「CloneGirls」は、日本企業が運営するイーサリアム完全互換のパブリックチェーン「Japan Open Chain(JOC)」の公式アンバサダーに就任、他にもWeb3/ブロックチェーン関連イベントに、アイドルグループが登場する例が見られるなど、Web3マスアダプションに向けて、アイドルのパワーを活用することは重要な手段かもしれない。
実際、JOCを運営する日本ブロックチェーン基盤は「音楽やアイドル文化とWeb3文化を融合させるCloneGirlsとの協力で、ブロックチェーン技術の従来のイメージを払拭することを目指します」と述べている。
|文:栃山直樹、増田隆幸
|画像:リリースより