フランスの経済財務大臣、リブラに関するFacebookの「政治的」野心を非難

フランスの経済財務大臣は、リブラ(Libra)は「受け入れられないもの」であり、国家の政治主権の侵害と述べた。

10月17日(現地時間)、フィナンシャル・タイムズのコラムの中で、ブリュノ・ル・メール経済財務大臣は、リブラは各国が自国の通貨を発行する主権を奪っており、これは劇的かつ予期できない反動を及ぼすと述べた。

リブラ協会(Libra Association)は10月14日(現地時間)、21の設立メンバーによってジュネーブで正式に発足した

1999年にユーロが誕生した際、加盟国はその主権の一部をユーロに引き渡した。フェイスブックや他のリブラ協会のメンバーに民間による通貨発行を認めることは、この取り組みを損なうと大臣は述べた。

「我々は本当に民間企業にそのような力を与えたいのだろうか? 貿易と金融の安定に与える影響を考えてみて欲しい」とル・メール大臣は述べた。

「私は主権国家の最も強力なツールの1つである金融政策が、民主的なコントロール下にない主体の権限下に置かれることを認めることはできない」

ル・メール大臣は、ツイッターでこの見解を繰り返し、「政治も主権も民間企業とは共有できない」と述べた。

ル・メール大臣が発展途上国と先進国の通貨のどちらにも脅威とする、民間発行の通貨というリブラの非民主主義的な性質も問題として指摘された。

「国家の通貨主権は国民の選択の自由によって支えられている」

リブラの脅威に対抗するためにル・メール大臣は、「革新的な国内および国際的な支払い方法」の開発と、「中・長期的には」中央銀行デジタル通貨の開発を求めた。

「中国をこの分野の唯一のプレーヤーにすることはできない」と大臣は付け加えた。

ル・メール大臣は以前、フランスはEUにおいてリブラを阻止しようとしていると述べた。ドイツのオーラフ・ショルツ(Olaf Scholz)財務大臣も同様の発言を行い、さらに決済手段の改善の必要性にも触れ、経済のグローバリゼーションが進む中、EU圏を強化するための電子ユーロを提唱した

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Bruno Le Maire image via Shutterstock
原文:France’s Le Maire Attacks Facebook’s ‘Political’ Ambitions With Libra