NFT、デジタルアートから実用技術へ──「96%」市場縮小の中で広がる活用領域

NFT(非代替性トークン)に関するニュースを提供するNFTeveningが発表した最新レポートは、NFTプロジェクトの96%が活動を停止しており、平均寿命が1.14年(約1年2カ月)であると報告している。

この調査では、データサイトNFTScanから5000を超えるNFTコレクションのデータが収集され、最低価格、時価総額、取引高などが分析された。

NFTeveningの定義によると、取引高が0になる、過去1週間の販売数が20件未満になる、または過去3か月間にX(旧Twitter)での活動が途絶えるという基準のいずれかを満たした場合、そのNFTプロジェクトは活動を停止したとみなされる。

取引高はピーク時の約2.5%

レポートによると、活動を停止するNFTプロジェクトの割合は年々増加している。2022年には全体の22%が休止状態となり、2023年にはその比率が30%まで上昇した。2024年に入ってからも、既に20%のプロジェクトが運営を終了しているとある。

NFTeveningによるグラフデータ
(NFTevening)

NFT市場の停滞は、取引高の推移からも見て取れる。暗号資産メディアThe Blockのデータによると、NFT取引高は2021年夏のピーク時から大幅に減少している。

2021年8月には週次取引高が約30億ドル(約4290億円、1ドル=143円換算)に達していたが、2024年9月初旬には約7500万ドル(約107億円)まで落ち込んでいる。これは、ピーク時の約2.5%の水準である。

The Blockによるグラフデータ
(The Block)

NFTeveningによるレポートは、「データは明確な状況を示している。デジタル所有権と投資の未来としてこれまで称賛されてきたNFT市場が、大きな困難に直面している。NFTの寿命が短いことから、この市場は多くの人が期待していた金の卵ではない可能性がある。今後、投資家は慎重に行動する必要があり、市場はより安定した持続可能な慣行を追求する必要がある。NFTの盛衰は、新興デジタル市場に伴う潜在的なリスクと、デューデリジェンスと現実的な期待の必要性を思い出させてくれる」と締められている。

日本の価値をNFTでグローバル価格に

一方で、NFT技術は単なるデジタルアートの枠を超え、様々な分野で新たな活用が検討されている。

例えば、コナミグループの子会社で、ゲーム開発を行うコナミデジタルエンタテインメントは、NFTマーケットプレイス「リセラ」を発表。そのソリューションを外部にも解放し、NFT活用を企業の枠を超えて推進しようとしている。

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また同じくゲーム業界では、株式会社ポケモンがブロックチェーンやNFTに関連する特許を取得したと伝えられた。「NFTを対戦で使用した履歴が所定の要件を満たすと、NFT所有者に所定の特典が付与される」(出願書類より)ことなどが想定されている。

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不動産分野では、ハイエンドな別荘をシェア購入できるサービスなどを展開する「NOT A HOTEL」の取り組みが知られている。

さらに地域活性化・地方創生の取り組みではDAO(分散型自律組織)が注目されているが、その取り組みの多くでは、NFTの活用が想定されている。

自民党web3プロジェクトチーム(web3PT)座長の平将明議員はしばしば「日本の体験価値、アナログの価値をデジタル(=NFT)を使ってグローバル価格にしたい」と語っており、今後はサービスやプロダクトの単価、売上をデジタルで拡大させることが重要で、それにより「日本は圧倒的に強くなる」と述べている。

|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock