トークン化資産400億ドル超、投資ポートフォリオに組み入れるべき理由

ブロックチェーンを使った資産のトークン化が進んでいる。Security Token Marketの創業者兼CEO、ハーウィグ・コニングス(Herwig Konings)氏が、その成長とトークン化が重要な理由を解説する。

株式、債券、ファンド、不動産、資産担保証券などをトークン化した「トークン化資産」は2024年、かつてないほど注目を集めている。暗号資産業界では「RWA(Real World Asset)トークン」あるいは「セキュリティ・トークン」とも呼ばれ、運用効率や異なるリターン特性が明らかになるにつれて、ブラックロック(BlackRock)、ハミルトン・レーン(Hamilton Lane)、JPモルガン(JP Morgan)、DTCC、ブロードリッジ(Broadridge)などの大手金融機関が積極的な取り組みを進めている。

トークン化とは?

トークン化とは、ブロックチェーン技術を使って、上記のような金融商品をデジタル的に表したものだ。暗号資産とは異なり、RWAトークンは、世界中で証券関連の法規制に従っている。規制されたプラットフォームで運用され、DeFi(分散型金融)アプリケーションを活用することで、パフォーマンスと実用性を向上させている。

トークン化資産の例をあげると、Security Token Market(STM)に上場されているものには、IPO前の企業の株式、リゾート、ワインやダイヤモンドのファンド、ビットコインマイニングや企業ポートフォリオの流動性イベントを裏付けとしたユニークな証券などがある。

より伝統的なものとしては、ハミルトン・レーンの「Secondary Fund VI」のようなフィーダーファンド(ファンドに投資するためのファンド)、3月に発売されてからすでに5億ドルを集めたブラックロックの「BUIDL(BlackRock USD Institutional Liquidity Fund)」、フランクリン・テンプルトン (Franklin Templeton)の「BENJI(OnChain U.S. Government Money Fund)」のような商品がある。

なぜ伝統的な大規模ファンドをトークン化するのか

ファイナンシャルアドバイザーは、顧客のポートフォリオを強化するために、よりパフォーマンスの高い資産を求めるだろう。だが、そのようなファンドは、例えば500万ドルといった高い投資最低額を設定していることがある。

もしその何分の1か、例えば、2万ドルで投資できるとしたらどうだろうか? 多くの顧客が魅力的なリターンを活用できるようになり、アドバイザーはきめ細かくリバランスすることができ、発行者はブロックチェーンのメリットを活かして投資家をより簡単に管理できるようになる。

これは多くの資産に当てはまり、特にさまざまな資産アロケーションやリスクプロファイルの存在が明らかになっている時代において、ポートフォリオの柔軟かつ高度なカスタマイズを可能にする。暗号資産市場への参加を熱望する若い世代も注目している。

RWAのパフォーマンスは? 大きなリターンを期待できるのか?

端的に答えるなら、NOだ。だが、暗号資産を中心としたポートフォリオの安定化に役立てることができ、これまでアクセスが難しかった資産クラスへのアクセスを可能にし、実用性をもたらすことで、進化する金融エコシステムを実現できる可能性がある。

STMのRWA市場アップデート:2024年8月のレポートより

STMが追跡しているすべてのRWAの総合パフォーマンスは8月、CoinDesk 20 Index(CD20)を上回た。CD20が8月、14.45%下落したのに対し、STMのRWAは3.03%上昇した。過去のパフォーマンスを見ても、RWAは概ね数%のプラスリターンを維持しているが、CD20は同様のパフォーマンスを示す月もあれば、10%台の下落を記録した月もある。これは暗号資産の不安定な性質を物語っている。

株式市場は8月、日経平均株価の下落、失業率、米国の景気後退懸念などのさまざまな要因が重なり、マイナススタートとなった。その後、暗号資産市場は下落し、月中に回復を試みたものの、最終的には下落で月を終えた。トークン化資産の一部も下落したが、それ以外は大幅に上昇し、最終的に全体ではプラス成長が続いた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Security Token MarketのWebサイト(キャプチャ)
|原文:Crypto for Advisors: Tokenization of Real World Assets