米CFTC、選挙への賭け爆増の危機と裁判所に主張──予測市場Kalshiとの訴訟後

米商品先物取引委員会(CFTC)は、「選挙への賭けが爆増する」事態が差し迫っていると警鐘を鳴らし、カルシ(Kalshi)の持つ政治予測市場の一時停止を、CFTCの控訴が保留されている限り延長するよう、控訴裁判所に要請した。

「地方裁判所の命令は、カルシその他によって選挙への賭けが解禁されたと解釈されている」と、CFTCは現地時間9月14日の提出書類で述べており、9月6日の判事の判決に言及して、同社が議会の各院でどの政党が過半数を獲るかに関する案件の提供を、自分たちが阻止すべきではなかったと述べた。

この判決を受けて、ウォール街の大手であるインタラクティブ・ブローカーズ(Interactive Brokers)がCFTCの規制に則った子会社を通じて大統領選挙に関する案件を提供するとの発表があった、とCFTCは指摘した。

コロンビア特別区の控訴裁判所が控訴期間中にカルシによる案件の一時停止を延長しない限り、CFTCの規制下にある他の取引所も追随すると、同局は述べた。「米国の先物取引所における選挙への賭けの急増は公共の利益を損なう」。その害には市場操作や「選挙の高潔さが損なわれる」が含まれると、CFTCは繰り返し訴えた。

暗号資産業界への影響

これとは別件として、CFTCは監視下にあるすべての取引所で選挙に関する案件の禁止を提案している。複数の法律家は、この度の地方裁判所における判決がその提案を台無しにする可能性があると述べた。

地方裁判所による判決は、暗​​号資産(仮想通貨)ビジネスにも影響を及ぼす可能性がある。同判決は、規制当局の法定権限の解釈権を制限し、その権限を裁判所に移した、最高裁判所のローパー・ブライト(Loper Bright)判決に依拠している。

「ローパー・ブライト判決の結果、また議会でより明確な新法が提出されないことから、連邦政府機関の権限は引き続き縮小される可能性が高い」と、暗号資産投資銀行ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)の調査責任者アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は現地時間9月13日のリサーチ・ノートで述べた。「これは暗号資産業界に幅広い影響を及ぼす可能性がある。」

長期にわたる戦い

カルシは昨年、選挙を対象とした市場を扱う申請を行ったが、CFTCはこれを阻止した。そして同社は先週、訴訟を起こして勝訴した。CFTCは、カルシが直ちに案件の提供を止める緊急停止の申請を行ったが、この戦いにも敗れた。案件の契約は現地時間9月12日に開始され、ワシントンD.C.控訴裁判所が緊急停止を検討する間、一時的に停止された。

同社は現地時間9月13日の提出書類で、このような停止は同社に「取り返しのつかない損害」をもたらすと主張している。

CFTCによる直近の申し立てでは、この主張は「非常に誤解を招く」とされ、カルシが被った金銭的損失は「米国の先物市場で選挙への賭けを許可することで生じる損害に比べれば取るに足りない」としている。

カルシは他にも何百ものイベント契約案件を提供しており、「控訴で勝訴すれば、近い将来に選挙案件を扱い、損失を補うことができる」と同局は指摘している。

さらに、CFTCは「カルシの埋没費用は執行停止によるものではなく、CFTCが過去にそのような契約を承認しなかったことを知りながら、選挙への賭けについて多額を費やすという同社の決定によるものだ」として、カルシがこの争いを予見していたはずだと述べた。

ポリマーケットの存在

米国内のみ、かつドル建てのみで事業を行うカルシは、今年の選挙への賭けについて締め出しを受けた一方で、暗号資産建ての競合企業であるポリマーケットが膨大な取引量を記録したと不満を述べている。

「法律を遵守しようとしていたのは我々であり、遅延の恩恵を受けるのは法律を遵守したくない関係者だ」と、カルシの主任弁護士であるジョーンズ・デイ(Jones Day)のヤコブ・ロス(Yaakov Roth)氏は現地時間9月12日の公聴会で述べた。

現地時間9月14日に提出された書類で、CFTCはその議論を「幼稚」と呼んでいる。

「薬局は、闇市場で売られているからといってコカインを調剤できるわけではない」とCFTCは述べた。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:‘An Explosion of Election Gambling’ Is Nigh, CFTC Warns Appeals Court