ソラナ、2代目暗号資産スマホ「Seeker」の詳細発表

シンガポールで開催されたトークン2049(Token2049)で9月19日、ソラナラボ(Solana Labs)傘下で携帯電話の設計を手がけるソラナモバイル(Solana Mobile)は2機種目となる暗号資産(仮想通貨)対応携帯電話を2025年に出荷すると発表した。

シーカー(Seeker) と名付けられた端末は、ソラナ初の携帯電話「Saga」からハードウェアを大幅に改良、バッテリー性能やカメラ機能が強化され、より軽量になるとプロジェクトを統括するエメット・ホリヤー(Emmet Hollyer)氏は述べた。

暗号資産に特化した改良も行われる。端末には、秘密鍵を分割して保管する「シード・ボルト(Seed Vault)」を備えた専用の暗号資産ウォレットが搭載される。これにより、SeekerはSagaよりもスムーズに暗号資産取引が可能という。

Saga の紆余曲折

Seekerは、かつて失敗に終わる寸前まで追い詰められた製品に対する、ソラナにとって2度目の大きな賭けといえる。前機種のSagaは売れ行きが芳しくなかったが、昨年、端末を購入することで端末自体よりも価値のあるエアドロップを受けることができることにトレーダーたちが気付いたことで、突然、人気を集めた。

専用のハードウェアとソフトウェアによって、暗号資産対応スマホを作り出すというソラナラボの野心は、Sagaが急に売り切れるようになったことで復活した。ソラナエコシステム内の開発者向けに独自のアプリストアを備えたAndroid対応端末をベースに、Saga、そして新たなSeekerは作られている。

新モデルへの期待は高まっている。ソラナは2024年初めに10万台を超える予約注文を確保した後、2モデル目の製造を約束した。資金を得たことと、購入者の積極的な姿勢によって、最初のモデルよりも優れたサプライチェーンを築く一助となったとホリヤー氏は述べた。

ソラナのDappストア

iPhoneや既製のAndroidに代わるスマートフォンとしてSagaが持つ大きな魅力の1つは「Dapp store」と呼ばれる独立したアプリストアの導入だ。開発者たちは、高度にカスタマイズされた暗号資産アプリを開発し、App StoreやGoogle Playの高額な手数料を負担することなく、アプリをリリースできる。

ホリヤー氏によると、SeekerのDapp ストアは、さまざまなアプリを見つけやすくし、Sagaのそれよりも優れているという。こうした向上は、開発者たちの関心が高まったからこそ可能になった。ソラナの1モデル目に向けてアプリを作ったチームはわずかだったが、今回は「多数のチームから問い合わせ」があり、Seeker向けアプリ開発に関するガイダンスを求められているとホリヤー氏は語った。

「我々がこの携帯電話を発表し、10万台が先行販売されたことが知られると、エコシステムの各チームは待ち切れない様子だった」

同氏によると、ストアでは、ユーザーが獲得しているトークン報酬の追跡もより正確に行われるようになるという。多くのチームが携帯電話の所有者に報酬を発行する予定で、Seekerは大きな利益をもたらす可能性があると同氏は期待している。

新機能

Seekerでは、メーカーが通常はロックしているGPSデータ、セルラーデータ、コンピューティングなどに対するサードパーティ製アプリのアクセスが、より許容されやすくなるとホリヤー氏は述べた。

これにはトレードオフが伴う。通常、端末ではプライバシーなどの懸念から、こうした内部情報は非常に慎重に扱われる。だが、一方でこうしたデータはすべて貴重で、特にDePIN(分散型物理インフラネットワーク)を開発する暗号資産プロジェクトにとってはなおさらだ。

ソラナモバイルは、DePINプロジェクトのヘリウム(Helium)や他のDePINプロジェクトと協議し、Seekerで活用される可能性があるデータを特定した。普段はあまり注目されないデータが、DePINの成長とパフォーマンスをより正確に追跡することに役立つかもしれない。

「これらはユーザーにとって、収入、関与、交流といった面で信じられないほどのチャンスになるだろう」とホリヤー氏は述べた。

|翻訳・編集:T.Minamoto
|画像:Solana Foundation
|原文:Solana Unveils Details of Second Crypto Phone ‘Seeker’