ビットコイン、価格とハッシュレートの乖離は価格上昇の可能性を示す
  • ビットコインの価格とハッシュレートの乖離は、過去のデータによると、価格上昇を示している可能性がある。
  • 9月の価格動向には、すでにこの乖離が現れ始めているサインがある。
  • 上場マイニング企業は、半減期後にコンピューティング能力を高めることで市場シェアを拡大し、ビットコインの積み増しを開始し、潜在的に市場供給量を減らして価格上昇の可能性を高めている。

ビットコイン(BTC)の価格とハッシュレート、いわゆるネットワークの演算能力の乖離は、ビットコインの価格上昇を示している可能性がある。

過去3年間で、こうした乖離は数回しか発生していない。いくつかのケースでは、ビットコイン価格は局所的な底値に達し、その後、ハッシュレートの上昇に市場が追いつくにつれ、価格は上昇した。

ビットコインネットワークのハッシュレートは、取引を認証するためにマイニングマシンを稼働させているマイナーの数に応じて上下する。

(ビットコイン価格とハッシュレート:Glassnode)

そうしたパターンと一致して、ビットコインはすでに回復のサインを見せており、9月6日の底値から当記事執筆時点では約9000ドル、15%上昇した。ビットコインの価格とハッシュレートの乖離は7月に始まり、9月初旬まで続いた。その間、ハッシュレートは7日間移動平均で1秒あたり693エクサハッシュ(EH/s)の過去最高値を記録したが、ビットコイン価格は5万4000ドル近辺で推移した。

(直近の乖離の始まり:Glassnode)

ハッシュレートの最近の急上昇に大きく寄与している要因は、上場マイニング企業の動き。ビットコインのマイニング報酬が半減する「半減期」を前に、ハッシュレートは650EH/sでピークに達し、競争の激化によって効率の悪いマイナーが撤退したため、6月には550EH/sまで低下した。しかし、十分な資本力を備えた上場マイニング企業がコンピューティング能力の増強によって市場シェアを拡大したため、現在は半減期前の水準に戻っている。

実際、業界誌TheMinerMagによると、16社の上場企業のデータを見ると、市場シェアは約23%に達しており、少なくとも2023年1月以降で最高となっている。上場マイニング企業は、半減期後も利益を確保するために競争を続けるため、ハッシュレートのシェアをさらに拡大していく可能性が高い。

(上場マイニング企業の市場シェア:TheMinerMag)

季節に逆行する傾向

歴史的に9月はビットコインにとって弱気な月と呼ばれており、Coinglassの過去のデータでは平均4%の下落となっている。しかし今年はそうした傾向に逆らっており、7%上昇した。季節性に逆行した動きは、ビットコイン価格の低さと上昇するハッシュレートが要因となっており、価格がハッシュレートに追いつこうとすることは、さらなる価格上昇を示している可能性がある。もちろん、金利動向など、他の市場要因も価格変動を後押しする可能性がある。

さらに、9月25日に予定され、5%の低下が想定されている次のマイニング難易度調整も、価格がハッシュレートに追いつくことを示している可能性がある。mempool.spaceによると、ブロックは現在平均10.5分でマイニングされている。これは、価格が追いつくにつれ、ハッシュレートが低下する可能性を示している。

(次のマイニング難易度調整は25日に予定されている:mempool.space)

マイナーはビットコインを積み増し

価格上昇の可能性を示すもう1つの要因は、マイニング企業がマイニングしたビットコインをどう扱っているかだ。

Glassnodeのデータによると、2023年11月〜2024年8月にかけて、マイニング企業は、半減期後もマイニング事業を継続するための資金を調達するために、一貫してビットコインを売却していた。これは記録上、最も長い売り圧力の期間の1つとなっている。

しかし、過去30日間の動きを見ると、マイニング企業はビットコインを積み増し始めており、半減期による財政的な負担がほぼ解消したことを示している。マイニング企業がビットコインを売却する量が減れば、市場に供給される量が減り、価格上昇の可能性は高まる。

(マイニング企業は今、ビットコインを蓄積している:Glassnode)

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Glassnode
|原文:Bitcoin Price and Hashrate Divergence May Set the Scene for a Potential Rally, Historical Data Shows