ゲームと現実のゴルフをWeb3技術でつなぐ「GOLFIN」小松CEOが語る「新しいエコシステム」への挑戦

次世代のWeb3ゲーム「GOLFIN(ゴルフィン)」がローンチに向けて着々と準備を進めている。GOLFINが狙うのは、現実のゴルフとゲームの世界をブロックチェーン技術で融合し、新しいエコシステムを作り出すことだ。現実のゴルフ・プレイヤーやゴルフ場、ゴルフ用品メーカーを巻きこむGOLFINの仕組みとは、いったいどのようなものなのか?

グローバルな開発チームを築き上げ、モバイルゲーム業界のキーパーソンを起用、さらにはローンチ前からテレビアニメ「オーイ!とんぼ」とのコラボも実現するなど、豪快な動きを見せている開発元・ワンダーウォール株式会社の小松賢CEOに話を聞いた。

「持続可能なP2Eゲームは作れないのか?」CEOの試行錯誤

GOLFIN開発の原点となったのは3年ほど前、小松CEOがとあるPlay To Earnゲームに興味をもったことがきっかけだった。

「2000アカウントを開設して大規模に取り組んだため、初めのうちはかなりの収益が上がった」。しかし、「最終的にはトークンが暴落して無価値となってしまった」と小松CEOは苦笑する。

「新規プレイヤーの参入に依存するポンジ・スキームのような構造では、絶対に長続きしない」ということを痛感させられる一方で、「実体経済を組み込み、消費活動と連動させれば、持続可能なPlay To Earnの仕組みが作れるかもしれない」というヒントも得られた。

では、どんなものと組み合わせれば、持続可能なものが作れるのか。調査や議論を重ねた結果、たどり着いたのが「ゴルフ」だった。

「ゴルフ産業は市場規模が大きく、様々な関連ビジネスがあるため、エコシステムを作りやすい。GPSと連動させたゴルフゲームなら、現実の活動とデジタル資産を自然に結びつけられる」

小松CEOは、GOLFINの核となったアイデアをこのように説明する。

考えていくうちにその挑戦は、単なるPlay To Earnゲームの制作を超えて、「ゴルフ」を愛する多くの人たちに向けた、新しいエコシステム・コミュニティを作るためのものへと変わっていった。

GOLFINの独自エコシステム

このようにGOLFINの最大の特徴は、多面的な収益構造を持つ「エコシステム」だ。

「われわれが目指しているのは、単なるゲームではなく、ゴルフコミュニティ全体のための包括的なプラットフォームづくりだ」と小松CEOは言う。

「GOLFINを通じて業界全体が得をする仕組みを作り上げたい。プレイヤーからだけでなく、提携しているゴルフコース、用具メーカー、広告主からもスポンサー収入を得ていく。これによりGOLFINのエコシステム上に、安定した経済基盤が構築される」

GOLFINのユーザーは、現実世界でのゴルフ活動やゲーム内の実績を通じてキャラクターを成長させ、アイテム・トークン(NFT)を獲得することができる。

現実のゴルフをスマホゲームと融合させる役割を担うのが、スマホゲーム本体とは別に用意される「GPS連動アプリ」だ。これらを組み合わせることにより「ユーザーが現実世界でゴルフをプレイすると、ゲーム内のキャラクターが成長する」という仕組みを作る。

(画面は開発中のもので、英語表記となっていますが、日本語にも対応します)

「屋内のゴルフ施設とも提携し、プレイヤーはQRコードをスキャンしてゲーム内の報酬を得る。ゴルフに関連するさまざまな活動を、GOLFINと結びつけていきたい」と小松CEOは説明する。

GOLFINには「コミュニティ」という側面もある。プレイヤーはアプリを通じて交流し、ゲーム内で現実のゴルフ仲間とマッチングしたり、スキルを向上させるためのヒントを共有したりすることができる。「将来に向けて、プロゴルファーや大会とのコラボも模索しています」「使えば使うほど、ゴルフがどんどん楽しくなるようなプラットフォームにしていきたい」と小松CEOは語る。

GOLFINは、NFTアイテムや報酬分配の仕組みにブロックチェーン技術を使っている。しかし、ユーザーインターフェースは背後にある仕組みをそこまで意識せずに使えるような形式になっているという。

ゲームアプリの状況は?

GOLFINのコアは、スマートフォン・ゲームアプリだ。こちらは、現実のゴルフをプレイしない人でも楽しめるゲームで、「カジュアルなプレイヤーにも親しみやすく、ハードコアゲーマーにも十分奥深いゲームを目指してバランス調整をしている」と小松CEO。

開発中のゲームを体験させてもらったところ、ゲームの操作は非常にシンプルで、誰でも楽しめる雰囲気だった。しかし、ちょっとした指の動きや操作のタイミングによって、ボールの行方はまったく違うものになってしまう。もちろん、風や地形、芝の状態など、さまざまな状況に合わせてクラブ選択やショットの力加減を考えなければならない。対戦相手に勝ち抜くためには、高い技量が求められるだろう。

GOLFINの開発チームは、国際色豊かな陣容となっている。日本を拠点にアメリカ、フランス、イタリア、トルコ、メキシコ、香港、台湾、シンガポール、インド、ロシアなど、海外の多様な才能が集まったという。

「チームの多様性は私たちの強みで、より幅広い視点から世界のユーザーにアピールできる」

その開発チームとともにGOLFINを進化させるのが、世古学氏。カプコンモバイル社長やカプコン・カナダ代表を歴任したゲーム業界のベテランだ。

「国際的なチーム運営と、世界トップクラスのモバイルゲーム制作を両方とも経験した人物がチームに加わってくれたのは、とても幸運だった。プレイヤーにも満足してもらえる高い品質のゲームが作りあげられるだろう」

小松CEOは期待を隠さない。

「いまは操作性など、ゲームプレイの核となる部分を高めることに注力している。基礎部分を固めたあと、コースのバリエーションを拡大していく方針だ」

プレイヤーを惹きつける「トーナメント」の仕組み

2025年Q3には、ゲーム内トーナメントも開催予定だ。「賞金はステーブルコインで用意する。メイン大会は、成長したキャラと実力がどちらも必要なシビアな大会になるだろう」と小松CEOは明かす。

ただ、この「トーナメント」は、現実のゴルフ大会のように、様々な形式・スタイルで開くことが可能だ。たとえば「特定のコミュニティメンバー限定」「特定のレギュレーションの大会」なども考えられる。大会を楽しめるのが一部ユーザーだけにはならない、とのことだ。

もうひとつ、GOLFINの仕組みでユニークなのは、プレイヤーが自分のキャラクターを他人に貸し出せる「スカラー制」がある点だ。

「現実のゴルフプレイでキャラクターが強化されたけれども、スマホゲームをプレイする時間はないという場合、他のプレイヤーに貸し出し、収益を共有することができる。競馬でいう馬主と騎手の関係をイメージしてもらえると良いかもしれない」と小松CEOは説明する。

「GOLFINのトーナメントは、すべての要素が集まる場所だ」と小松CEOは付け加える。

「実際のゴルフプレーにインセンティブを与え、ゲーム内エンゲージメントを促進し、目に見える報酬を提供する。プレイヤーにとっても、我々のプラットフォームにとっても、そしてパートナーにとってもメリットがある形になっている」

スポンサーにとっての魅力とは?

GOLFINのエコシステムを健全に保つために不可欠なのが「スポンサー」だ。

スポンサーにとってのメリットは何か。それはスマホゲームと現実社会の両方で、サービスや商品を宣伝できることだ。「例えば、ゴルフ用品メーカーはゲーム内で自社クラブを紹介できる。現実世界のゴルフ場はユーザー向けに特別オファーを提供したり大会を開催したりできる」と小松CEOは説明する。

ゴルフ場側は、GPS連動のGOLFINアプリによって、位置情報に基づいたプロモーションが可能となる。「たとえば、プレーヤーがスポンサーのゴルフコースを訪れると、ゲーム内の特別報酬や現実世界の割引を受けることができ、来場者や売上を促進することができる」といった具合だ。現実でゴルフを楽しむプレイヤーには経営層が数多く含まれ、中にはWeb3など最先端のテクノロジーに関心の高い層が少なくない。「Web3アプリとの相性はいいはずだ」と小松CEOは期待する。

GOLFINのNFTシステムは、デジタル世界でのブランド展開にも新たな道を開く。「スポンサーは、限定版NFTのバーチャルアイテムやグッズを作ることができる。それは新たな収益源にもなるし、ブランドロイヤリティを高めることにもつながる」と小松CEOは話す。ゲーム内トーナメントも、スポンサーにとっては高い露出を得るチャンスとなる。そして、トーナメント開催などを通じてプレイヤーのオンライン・コミュニティが育ってくれば、さまざまなコラボや、企業の垣根を超えたプロモーションが可能になってくるだろう。

「GOLFINのエコシステムを通じて、ブランドとユーザーの関係性をさらに深いものにしたい」

「テレ東アニメ」とのコラボも実現

ローンチに先駆けて、GOLFINはテレビ東京で4月クールに放映されたアニメ「オーイ!とんぼ」とのパートナーシップを成立させている。天才ゴルフ少女・大井とんぼが、元プロゴルファーに才能を見出され、競技ゴルフに挑むというストーリー。原作は『週刊ゴルフダイジェスト』に2014年から連載中の人気マンガ(原作:かわさき健、作画:古沢優)で、単行本は既刊52巻、累計発行部数210万部を超えているという。

このコラボによってGOLFINは、作中のキャラクターやアイテムをモチーフにした限定版NFTの発売が可能となった。「これらのNFTは単なるコレクターズアイテムではなく、当社のゲームエコシステムの中で活用できる」ものだ。すでに主人公の使ったクラブ「とんぼの3番アイアン」がNFT化され、今先行予約を受付中である。。

まだ発売前のブロックチェーンゲームが、どうやってテレ東とのコラボを実現できたのだろうか。CEOは「この取り組みはWeb3の全く新しいものなので、最初からすんなり理解してもらえるとは思っていない。ビジネスモデルを魅力的にするだけでは足りず、法律家の支援を得ながら規制をクリアしていくなど、入念に準備をしたうえで粘り強い交渉を行った」と明かす。

アニメ「オーイ!とんぼ」は10月から2期目に突入する。

「作品自体が持つ魅力が強く、見始めたら止まらない。アニメはAmazonプライムでも配信され、オープニングにはGOLFINのロゴが大きく登場する。このアニメをきっかけにして、ブロックチェーン技術に触れる視聴者が出てくるかもしれない。コラボしてもらえたのは本当にうれしい」と小松CEOは打ち明ける。

今後のスケジュールは?

世界に向けて、GOLFINをアピールする仕掛けはすでに始まっている。直近ではテレグラムのユーザー向けにミニアプリをローンチした。「友達にGOLFINのことを伝えるとポイントを獲得できるというシンプルなゲームだ。さまざまなプラットフォームで、多様なプロモーション手法を使ってゲームの魅力を伝えていく」と小松CEOは力説する。国内外で開催されているWeb3関連のカンファレンスにも積極的に参加し、世界の企業や投資家に存在をアピールしているという。

メインアプリの一つとなるGPSアプリは、10月中にリリース予定。そして2025年Q1には待望のスマホゲームが公開予定。「最初は機能が限定的だが、その後のアップデートで、マルチプレイヤーモードやキャラクターの貸し出しなど、より複雑な要素を追加していく」という。

初の公式大会は、2025Q3に予定されている。賞金総額は1億円で優勝者が1000万円にのぼる見込みで、独自トークンではなく、ステーブルコインで支払う計画だ。「これがGOLFINエコシステムの、最初の大きな試金石となるだろう」と小松CEOは宣言する。

GOLFINは単なるゲームではない。Web3で現実のゴルフを拡張し、新しいコミュニティのあり方を切り開き、独自のエコシステムを作り上げ、ゴルフユーザー(富裕層)とゲームユーザーを融合させて『世界の経済格差を解消していく』という野心的な取り組みだ。その開発の最新状況は、公式Xアカウントなどで積極的に公開されている。公式Discordチャンネルでは、ユーザー同士の交流やゲーム内で流通するトークンのAirDropイベントも開催されている。小松CEOは「幸いなことに、リリース前から大勢の方に期待してもらっている。新しいサービスが生み出される瞬間を、ぜひ目撃してほしい」と訴えていた。

|インタビュー・文:CoinDesk JAPAN広告制作チーム
|撮影:多田圭介