「強気な10月」の始まりにビットコインクジラは積み増し、小口投資家は現状維持
  • ビットコインに対する小口トレーダーの動きは、通常の水準にあり、過去の強気相場や弱気相場で観測されたよりも鈍いことをOKXやバイナンスのような暗号資産取引所のデータは示している。
  • 新しいクジラが既存のクジラからビットコインを積み増しするなか、市場は小口投資家が出口流動性(exit liquidity)を提供するのを待っている段階にある可能性を、一部のオブザーバーは指摘。
  • こうした動きは通常、ビットコイン価格が新高値に近づいた際に、小口トレーダーが一斉に参入する前兆となる。

10月初めのビットコイン(BTC)購入の強化において、小口投資家は機関投資家に後れを取っている。10月は、時価総額最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインにとって、歴史的に強気の月だ。

大口投資家が購入を増やしているにもかかわらず、小口投資家からの純流入は、依然として通常とされる水準にある。小口の市場参加者に人気のある暗号資産取引所、OKXとバイナンス(Binance)のデータは、2021年と2022年の強気相場と比較して最小限の動きしか示しておらず、2019年から2020年の弱気相場時よりも鈍い。

この控えめな動きは注目に値する。なぜなら、2013年以降、10月が赤字で終わったのは2回のみで、最高60%、平均22%の利益を記録し、投資家にとって最もリターンの良い月であるからだ。

取引所の入金アドレスへのビットコイン流入額(出典:CryptoQuant)

ここ数カ月、2つの取引所で1日にアクティブなウォレット数は4万未満だ。これは、ビットコインが1万ドルを下回り、アクティブなウォレットが1日あたり5万ほどあった弱気相場時よりも少ない。このデータは、報告されているように、コインベース(Coinbase)のモバイルアプリの人気やオンチェーン利用などの他の指標と一致している。

「我々は強気サイクルの最中にあり、新しいクジラが既存のクジラからビットコインを積み増ししているなか、小口投資家による出口流動性(exit liquidity)を待っている」とCryptoQuantの創業者であるキ・ユン・ジュ(Ki Young Ju)氏は1日、Xの投稿で述べた。

個人トレーダーと呼ばれることが多い小口トレーダーは、個人口座で資産を売買する。機関投資家のトレーダーは、団体や機関のために管理する口座で売買し、市場での影響力の大きさから、俗に「クジラ」と呼ばれる。

小口トレーダーは、機関投資家よりも知識に乏しい、もしくは感情に左右されやすいとみなされることが多い。小口トレーダーの資金の大幅な流入は、強気なセンチメント、つまり価格が上昇するという一般的な考えを示す可能性がある。

だが、小口トレーダーの資金流入が極端に多い場合は、市場の過熱を示唆し、上昇相場や市場サイクルの終わりに近づいている可能性がある。小口トレーダーの流入が増加する初期兆候は、弱気相場の終わりや蓄積段階の始まりを示唆することもある。

小口トレーダーによる買いの急増は市場のピークに先行することがあり、その後、小口トレーダーが損失への恐怖あるいは利益確定による売却を始めると相場が修正される。

小口トレーダーは「通常、ビットコイン価格が急騰し、史上最高値に達するときに参入する」とジュ氏は述べた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Retail Inflows Hold Steady as Whales Pile In at Start of Historically Bullish October