280億円相当のソラナ、持ち主不明から3年後にバイナンスへ返還される
  • 暗号資産(仮想通貨)ブローカーのファルコンX(FalconX)は2021年以来保有していた135万ソラナ(SOL)について、それが誰のものかは把握していなかった。
  • 現在約1億9000万ドル分の価値がある当該トークンは、バイナンス(Binance)のものだったことが判明し、最近になって返却された。

3年前、暗号資産プライムブローカーのFalconXのウォレットに135万ソラナが現れた。

同社によると、送金者を特定する取引記録は添付されていなかった。当時、ソラナは約20ドルから30ドル(約2940円から4410円、1ドル=147円換算)で取引されていたため、少なからぬ金額が同社に不可思議にも渡った。

そして、このソラナの持ち主だと名乗る者はすぐに現れなかった。

2022年後半にFTXが崩れた後、ソラナは10ドルを下回った。しかし、その後大幅に回復し、現在では当該トークンの価値は1億9000万ドル(約280億円)に達している。

最近になって、最大の暗号資産取引所であり、FalconXにとって流動性をもたらす主要なパートナーであるバイナンスが、ついに正当な所有者として名乗り出て当該ソラナを求め、同社が返還するに至った。

両社への問い合わせ

この明らかな間違いがどういう経緯で起きたかは不明である。こうした状況からは、会計システムと管理に関する疑念が引き起こるが、新たに高騰したソラナ価格で換算したとしても、紛失した今回のトークンは、バイナンスにとって大した金額ではない。というのも、同社は1100億ドル(約16兆円)以上の資産が準備されており、世界中で9000万人以上の顧客にサービスを提供している。

CoinDeskが連絡を取ったFalconXの広報担当者は、ソラナトークンを含めて「調整の際の異常」があったことを認め、ソラナを自社にもたらした元取引に関連する識別情報はなかったと述べました。

CoinDesk の問い合わせに対し、バイナンスは、こうした状況によって顧客が金銭を失うリスクは皆無だったと述べた。135 万トークンが見つからなかったら、バイナンスは損失を自ら補填しただろう。同社広報担当者は、135 万トークンを FalconX に送った取引に身元情報がなかったかどうかについては、即答できないと述べた。

CoinDesk への共同声明で、両社は件の資産がバイナンスに返還され、問題は完全に解決したと述べた。同声明によると、「バイナンスと FalconX は通常通り業務を続けている」。

暗号資産ならではの特徴

不可思議な取引や調整に関する難問は従来型の金融でも発生するが、暗号資産の場合は資産が何年も請求されず、その間に価値が大幅に上昇するという、この種の状況に陥りやすい特徴がある。もちろん、暗号資産は急速に進化するインフラ上で稼働する新しい金融分野であり、非常に不安定な資産が存在している。

幅広に言えば、PwCのような大手監査法人は、比較的新しい暗号資産業界がこのような調整問題の影響を受けやすいことに同意している。「主に、規制されていない業界は物事が成熟しておらず、管理環境が弱いと言える」と、PwC香港のパートナーで、デジタル資産、Web3、メタバースを専門とし、税金と規制を主に手掛けるピーター・ブリューイン(Peter Brewin)氏は述べた。

2018年に設立され、2022年半ばの資金調達ラウンドの時点で80億ドル(約1.2兆円)の評価を受けたFalconXは、ポートフォリオを管理し、さまざまな暗号資産取引所、カストディアン、マーケットメーカー、プロップショップに接続するためのダッシュボードを機関投資家に提供している。このブローカーは、オムニバスとサブアカウントの複雑なシステムを使用して、毎月1億件を超える取引を処理している。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Binance, FalconX and the Curious Case of 1.35M Missing Solana Tokens