HBOの大々的な「サトシ探し」、暗号資産界隈の反応は

米時間8日に放送されたHBOの「サトシ・ナカモト」についてのドキュメンタリーは多くの注目を集めた。しかし、専門家たちは番組の結論に納得していない。

「サトシ探し(Satoshi-sleuthing)」の歴史は、誤った方針、袋小路、無駄足の繰り返しだ。現地時間8日夜に米国で放映されたHBOの『MONEY ELECTRIC: THE BITCOIN MYSTERY』は、それとは違うはずだった。ビットコインの生みの親は誰なのかについて、説得力のある証拠を提示し、世界最大の謎に終止符を打つはずだった。

だが、そうはならなかった。

8日午後、ドキュメンタリーがピーター・トッド(Peter Todd)を「その人物」として描くという情報が流れるとすぐに、このミステリーに関心を寄せていたX(旧Twitter)上の誰もが懐疑的になった。そして、ドキュメンタリーを観て、彼らはさらに懐疑的になった。

以下は、そうしたツイートの抜粋だ。

HBOは@peterktoddがサトシだと言い、そして彼の反応は完璧だった

「この映像をドキュメンタリーに取り入れて、多くのビットコイナーがこれを見たら、とても面白くなるだろう」

ドキュメンタリーは、ピーター・トッドをサトシとしたが、これは文字通り、2人が同じピザのトッピング(パイナップルとハラペーニョ)を好むという理由に基づいている。

「フェイクトシ(Faketoshi)」ことクレイグ・ライトは、長年サトシだと主張してきたが、このドキュメンタリーは間違っているとも述べた。今回は、彼に同意できるとトッドは述べた。

クレイグ・ライト(Craig Wright)は、HBOのドキュメンタリーはでたらめだと発言した。

これに関しては、彼の言葉を信じるべきだと思う。

結局のところ、クレイグ・ライトはサトシではないことに関する世界有数の専門家だ。

@HBO#Bitcoinに関するドキュメンタリーに対する公開書簡

私は最近、HBOで『Money Electric: The Bitcoin Mystery』を観た。全体的には非常によくできた作品だが、いくつかの重要な欠落や不正確な点を指摘しておく必要があると思った。

完全に馬鹿げたビットコインの伝説に10年間も浸かっていないで、サトシの議論に足を踏み入れたなら、どうしようもなく混乱するだろう。参加を拒むようで申し訳ないが、事実だ。

@Pledditorは、ドキュメンタリーは、「サトシ探しをする人たち」が間違った方法で進めてきたことを示しており、実際には多くの人物が関わっていたのに、たった1人の適任者を探していると思うと述べた。

「このドキュメンタリーは、すべてのサトシ・ナカモト説がでたらめである理由を象徴している。ビットコインを開発できるのは世界でもごく一部の人だけという考え方がすべての前提となっているため、そうした功績で知られる著名な人物を選び、その人物のライフスタイルや経歴を遡り、多くの「偶然の一致」を見つけ、自分たちの確証バイアスを裏付けようとする。これは破綻した方法論であり、ストーカー行為や非倫理的な個人情報の暴露につながる。実際、2008年にビットコインを生み出せるような経歴やプロフィールを持つ人物は、数万人、あるいは数十万人はいたはずだ。サトシではないかと定期的に名前をあげられるこれらの半ば公人である人たちが、サトシである可能性はかなり低い。だからこそ、確固たる証拠がないのであれば、サトシ・ナカモトの正体に関する仮説は胸に秘めておくべきだろう。そうでなければ、600億ドルの懸賞金が(おそらく)間違った人物にかけられるだけだ」

ビットコインのドキュメンタリーに関するメディアの息つくまもない報道を見ると、私はすべての記事を、サトシが誰なのかを解明したと主張することから始めるべきなのかと思ってしまう…

ジャーナリストのイザベラ・カミンスカは、医師の結論を簡単に否定すべきではないと述べた。つまりは、ボディランゲージだ。

それで…もしあなたが、HBOがピーター・トッドがサトシであると示唆して、「恥をかいた」というニュースで目覚めたなら…

トッドではないとの主張については、いくつか留意すべき点がある。これは私の独自の分析に基づいている…

誰もがサトシが誰なのかを知りたがっているので、教えよう。

サトシ・ナカモトは、ピアツーピアの電子マネーシステムであるビットコインの匿名の生みの親だ。

トッド自身が最終的な発言をした。

私はサトシではない。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:HBO
|原文:How Crypto Reacted to HBO’s Big Satoshi ‘Reveal’