- イベントを材料に取引を行うトレーダーは、CMEのビットコイン・フライデー先物(BFF)でターゲット戦略を行うことができる。
- 週ごとの満期であることにより、現物との価格差が制限され、ロールオーバーコストに上限が設定されるので、収益性が向上する。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の金曜日満期のビットコイン(BTC)先物は、アメリカの主要な経済指標の発表に賭けようとするイベントドリブントレーダーにとって理想的だと、CFベンチマークス(CF Benchmarks)のCEOであるスイ・チョン(Sui Chung)氏は述べ、最近取引が開始された先物のパフォーマンスについて説明した。
CMEは、先物商品を個人投資家にも利用しやすくするために、証拠金要件を低く抑えた1BTCの50分の1のサイズの毎週金曜日満期の先物を9月30日に上場した。このビットコイン・フライデー先物(BFF)は、ニューヨーク時間の毎週金曜日午後4時に決済される、CFベンチマークスによるビットコインの基準価格を表すベンチマークであるBitcoin Reference Rate – New York(BRRNY)の派生商品だ。新しい契約はニューヨーク時間木曜日の午後6時に上場され、市場参加者はいつでも直近の2回の金曜日を満期とした取引を行うことができる。
この先物商品は初日に2つの契約週にわたって3万1000件以上の契約を記録し、この世界的なデリバティブ取引所史上、最も成功した暗号資産(仮想通貨)先物取引の立ち上げとなった。
「4週間にわたる幅広いイベントの影響を受ける月契約とは異なり、週の契約では、アメリカのマクロデータ発表などの特定のイベントに対するビットコインの反応について、投資家がより明確な意見を表明することができる」とチョン氏はインタビューでCoinDeskに述べた。
ビットコインは、2020年の新型コロナウイルスによる暴落以降、マクロ資産として浮上し、短期トレーダーや投機家が、アメリカの月次インフレ率や非農業部門雇用者数などの注目度の高いニュース発表やデータ公開に合わせて賭けを行うようになった。
金曜日満期の先物取引は、スポット価格に対する低い価格差、低いロールオーバーコスト、よりターゲットを絞った取引戦略など、イベントを材料に取引を行うトレーダーにいくつかのメリットをもたらす。
期間が短いため、先物とスポット価格の差が制限され、月次標準およびマイクロ先物契約よりもプレミアムが低くなる。プレミアムが低いということは、コンタンゴ・ブリード、つまり差し迫った満期から次の満期までポジションを移動することで発生するコストが、期間が長い契約よりも比較的少ないことを意味し、収益性が向上する。
「週次契約の時間軸が短いことから、月次契約と比較して一般的に価格差が低くなり、個人投資家にとっては分析が容易になるだろう」とチョン氏は述べている。
またチョン氏は、BFFの満期と、ほとんどがBRRNYを参照するアメリカ上場のビットコイン現物ETF(上場投資信託)の日次純資産価値(NAV)計算との整合性が、市場の流動性を高めると付け加えた。流動性が高まれば、大口注文を安定した価格で執行しやすくなり、価格発見メカニズムがより効率的になる。
規制のないオフショアの取引所では、小口投資家は、資金調達率メカニズムを利用してスポット市場と価格を一致させる永久先物を好む傾向がある。資金調達率は8時間ごとにトレーダーから徴収されるが、これらの手数料は変動が激しく、不確実性と予測不可能性の要素が加わる。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
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|原文:CME’s Bitcoin Friday Futures Are Ideal for News Traders: CF Benchmarks