サトシの夢を実現するのは「タップして稼ぐ」ゲーム

ハムスター・コンバット(Hamster Kombat)のようなゲームが好きだろうと嫌いだろうと、暗号資産(仮想通貨)の世界に何百万人ものユーザーを呼び込んでいるとライアン・ゴーマン(Ryan Gorman)氏は述べる。

メディアの報道や事例などを信じるなら、暗号資産のメリットを享受しながらも、そうしたテクノロジーを使っていることに気づいていない人々による暗号資産のマスアダプションが迫っている。

タップ・ツー・アーン(タップして稼ぐ)ゲームは古くからあるアイデアだが、Web3に適用したことで、この業界ではかつてないほどのユーザーエンゲージメントの「カンブリア大爆発」が起きており、ハムスター・コンバットは始まりに過ぎない。多くの場合、ゲームによる報酬は、わずかだがこれまで存在しなかった経済的自由をもたらしている。

例えば、イランからの報道によると、政府はハムスター・コンバットを「神権国家に対する西側諸国からの戦争における“ソフト・ツール”」であり、最近の選挙において有権者が投票所に足を運ぶ気をなくすよう仕向けたと主張している。一方、ゲームの創設者たちは西側諸国とのつながりを否定しているが、実際にはより大きな力が働いている可能性が高い。

希望の光

イランは現在、世界でも最悪の経済状況にあり、核開発に対する厳しい制裁により物価が上昇しているため、国民には仕事を得る見込みがほとんどない。このため、イランでは暗号資産の普及率が他の国よりもはるかに高くなっている。イラン人は、Tonkeeperや他の多くのノンカストディアル・ウォレットのユーザーとして常に上位にランクインしており、お金の新しい使い方を模索し、収入の価値を守ろうとしている。

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だが、さらに驚くべきことは、この国がハムスター・コンバットに飛びついた速度だ。例えば、AP通信はイランの首都テヘランのある午後の様子を次のように伝えている。

「6月初旬の猛暑の中、首都テヘランで信号待ちをしているタクシー運転手やオートバイの運転手は、携帯電話を猛烈な勢いでタップしている。歩行者の中にも同じことをしている人たちがいる。彼らは皆、リッチになれると信じている」

彼らにとって富は、西側諸国と関連している。2015年には1ドル=3万2000リアルだったが、現在では1ドル=4万2000リアルまで下落している。同時に、AP通信によると、昨年、肉の価格は70%上昇し、ライドシェアの料金は2倍になっている。

イランの人々が少しでも収入を得られるチャンスにしがみつくのは当然だが、大きな報酬が期待できるミニアプリに注目しているのは彼らだけではない。

子供たち

ビデオゲームは、子供たちがプレイしてきた。私も子供の頃にプレイし、今でもプレイしている。私の友人の多くもそうだ。あなたもそうだろうし、仮にそうでなかったとしても、あなたの周りの多くの人々もそうだろう。

そして同僚、仕事相手、カンファレンス参加者など、私が話を聞いた多くの人々が、子供たちがどれほどハムスター・コンバットに夢中になっているかを語ってくれた。11歳や12歳の子供たちも、休みなくプレイしているという。

効率的にプレイするために、マッサージガンまで駆使しているイラン人のように、猛烈な勢いでタップしている多くの子供たちは、おそらく暗号資産が報酬、そしてエアードロップの裏側にあることを知らないだろう。だが、トッププレイヤーが、かつてないほどの大金を得ることをしっている。イランだろうと、アイオワだろうと、あるいは世界のどこであろうとも。

報酬が、ハムスター・コンバットをプレイした3億人以上のユーザーを魅了し、彼らは今も毎週オンラインで公開される無数のタップ・ツー・アーン・ゲームをプレイしているのだろう。だが、それが本質的な問題ではない。何が起こっているかを理解するためには、1980年代にビデオゲームがボードゲームを追い越した経緯を考えることだ。

史上初めて、3億人の人々が暗号資産を基盤とするWeb3プラットフォームとやり取りしており、それは世代、場所、背景を問わない。そして、若い世代は暗号資産により一層親しむようになっており、問題は「Web3プラットフォームは既存のプラットフォームを追い越すのか」ではなく、追い越すのは「いつか」だ。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
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|原文:Tap-to-Earn Games Are Realizing Satoshi’s Dream