香港規制当局、ライセンス取得済み取引所のための「諮問委員会」を設立へ
  • 諮問委員会にはライセンスを取得した各取引所の代表者が参加すると、香港証券先物委員会のエリック・イップ氏は述べた。
  • 諮問委員会が暗号資産商品とサービスのロードマップを作成することを、同氏は期待している。

香港証券先物委員会(SFC)は来年、香港でライセンスを取得した暗号資産(仮想通貨)取引所のための諮問委員会を設置する予定だと、SFCの仲介業者部門のエグゼクティブディレクター、エリック・イップ(Eric Yip)氏が述べた。

10月28日に開催された香港フィンテック・ウィーク(Hong Kong Fintech Week)で同氏は、諮問委員会にはライセンスを取得した各取引所の代表者が参加し、コミュニティの透明性とライセンス取得者間の責任分担を強化すると語った。

「委員会での審議の結果、商品やサービスの開発ロードマップ、およびコンプライアンスやリスク管理の強化の可能性を概説する暗号資産の包括的なホワイトペーパーが作成されることを期待している」と同氏は述べた。

この動きは、店頭(OTC)取引やステーブルコインに関する今後の法整備を含め、デジタル資産の包括的な枠組みを確立しようとする香港の取り組みの一環だ。

今年初め、香港は暗号資産取引プラットフォーム(VATP)向けの新たなライセンス制度を導入。香港では現在3社がライセンスを取得し、イップ氏によると、SFCはさらに14社の申請を処理中で、そのうち11社は香港で既存事業を有しているという。同氏は、今年末までにさらに多くのライセンスが付与される見込みだと付け加えた。

投資家保護

だが、同氏はまた、暗号資産が世界的に金融規制当局の最重要課題となっている一方で、投資家は依然として規制と教育を通じて保護される必要があると警告した。

警察の声明によると、今年上半期、香港で投資詐欺により15億香港ドル(1億9300万ドル)が失われ、報告された犯罪のほぼ半分を詐欺とスキャムが占めた。これらの事例のうち何件が暗号資産に関係しているかは公表していないが、2023年のデータによると、暗号資産関連の詐欺が投資詐欺の損失の半分以上を占めている。

「SFCでは、暗号資産の未来は、その発展と投資家保護のバランスが取れた規制された市場にあると確信している。証券規制における我々の経験が強固な基盤を築いているため、わざわざ一からやり直す必要はない」と同氏は指摘。

同氏は、取引所が「規制アービトラージ(裁定取引)」を行うのを防ぐため、世界中のさまざまな規制当局間の協力を強化するよう呼びかけた。

だが、それは困難であることが判明している。OKX、HTX、バイナンス(Binance)が支援する地元の取引所など、世界最大の取引所のいくつかは香港のライセンス申請プロセスから脱落した。

ライセンス取得済み取引所の課題

ライセンス取得済み取引所で利用できるトークンの数が少なく、複雑な金融商品も不足しているため、香港でライセンスを取得していない海外の取引所を個人投資家は利用し続けている。同氏はこの問題に明確に言及しなかったもものの、規制当局は気を抜かずに対応する必要があると述べた。

「我々があらゆる努力をしても、規制されていないVATPに暗号資産の流動性が依然として存在し、規制された主体が持続可能なビジネスモデルを運営できないのであれば、投資家が我々の最先端の規制枠組みを選ばなかった理由を振り返る必要がある」と同氏。

「つまり、市場の声に耳を傾け、規制の完全性と市場の発展のバランスを取る必要がある」

|翻訳・編集:廣瀬優香
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|原文:Hong Kong SFC to Establish ‘Consultative Panel’ for Licensed Crypto Exchanges