機関投資家、米大統領選に向けビットコインのボラティリティに備えたポジションを構築
  • アルベロス・マーケッツのジョシュア・リム氏は、CMEビットコイン先物のコールオプション買いの「大幅な増加」が、選挙に向けた「非常に強気なポジション構築」を示していると述べた。
  • メイプル・ファイナンスの共同創業者シドニー・パウエル氏は、暗号資産信用市場でも選挙に向けて価格のボラティリティを予想した借入が増加していると指摘した。

来週に迫ったアメリカの選挙は暗号資産(仮想通貨)市場の主要な材料になると予想されており、機関投資家はビットコイン(BTC)価格のボラティリティの急増に備えたポジション構築をしている。市場ウォッチャーらがCoinDeskに語った。

暗号資産レンディングプラットフォーム、メイプル・ファイナンス(Maple Finance)の共同創業者シドニー・パウエル(Sidney Powell)氏はCoinDeskとのインタビューで、11月5日の大統領選挙が近づくにつれ、機関投資家向けの暗号資産レンディング市場での短期借入金利が上昇していると指摘した。

パウエル氏は、「一部の大手機関からのインバウンドの借入要請が増加している」とし、「大口ローンと未決済取引クレジット(信用)に対する借入の需要が大幅に増加している」と指摘。こうしたプレーヤーは「上昇方向へのボラティリティと資産価格の上昇が起こる可能性を予想している」と述べた。

こうした機関には通常、プライムブローカーや店頭取引デスクが含まれ、他の顧客や同業者にマージンを提供するために在庫を積み増したり、潜在的な強気相場に向けてレバレッジをかけて自己勘定でロングポジションを取ったりする可能性が高いとパウエル氏は説明した。

デリバティブ市場でのポジション構築も、機関投資家が選挙に先立って暗号資産に資金を配分していることを示唆している。

自己勘定暗号資産ブローカー、アルベロス・マーケッツ(Arbelos Markets)の共同創業者であるジョシュア・リム(Joshua Lim)氏は、経験豊富で伝統的な機関投資家が好むシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のビットコイン先物市場のオプションで最近、取引高が最高水準の日が続いたとコメントした。

リム氏はCoinDeskへのテレグラムメッセージで、「選挙に向けてCMEのコール買いが大幅に増加しており、同取引所で過去最大規模の取引も見られる」と指摘した。

過去1週間で想定元本3億5000万ドル(約525億円、1ドル150円換算)の11月限コールオプションが取引されており、11月満期時点での損益分岐点価格は約7万9300ドル(約1189万5000円)。リム氏は、これはトレーダーが来月のビットコイン価格上昇から利益を得ることを予想していることを意味すると述べた。

リム氏は、「選挙に向けて非常に強気なポジションを取っている」とし、「暗号資産戦略に特化したファンドが、この資産クラスの成熟に伴って成長し続けていることは明らかだ」と述べた。

|翻訳・編集:林理南
|画像:Paul Kenny McGrath/Unsplash
|原文:Institutional Investors Position for Bitcoin Volatility Into the U.S. Election