10月30日に発表されたコインベース(Coinbase)の第3四半期の売上と利益はウォール街のアナリストの予想を下回り、時間外取引で株価が急落した。
この暗号資産(仮想通貨)取引所は、ファクトセット(FactSet)のデータによると、第3四半期の総収益が12億ドル(約1800億円、1ドル=150円換算)だったと発表した。これは、コンセンサス予想の12億6000万ドル(約1890億円)を下回っている。一方、1株当たり利益(EPS)は0.28ドルで、これもアナリスト予想の0.45ドルを下回った。また、コインベースの第3四半期の調整後EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前の利益)も、4億4900万ドル(約673億5000万円)で予想の4億6920万ドル(約703億8000万円)を下回った。
コインベースは主に市場の低迷により打撃を受けたが、同社は株主宛ての書簡で、一部の分野では成長が見られたと指摘した。
「四半期ごとに見ると、全体的に非常に堅調な結果だ。取引収益にボラティリティが影響したことは確かであり、第3四半期には市場の低迷によりその影響が見られたが、全体的には満足できる結果だ」とIR担当バイスプレジデントのアニル・グプタ(Anil Gupta)氏はCoinDeskに語った。
また、同社は10月に10億ドル(約1500億円)を上限とする自社株買いを承認したと発表した。この自社株買いには有効期限はなく、市場の状況に応じて買い戻す予定だ。
「当社はバランスシートを4億ドル(約600億円)以上成長させ、今回の自社株買いプログラムを実施する体制を整えた」とグプタ氏は述べた。同社の第3四半期の現金、現金同等物、および米ドル建て通貨の残高は82億ドル(約1兆2300億円)だった。
コインベースの主な収入源は取引手数料だが、アメリカの取引所全体の取引量が減少したため、第2四半期から27%減少した。「取引量の主な要因である暗号資産のボラティリティは、第3四半期の平均と第2四半期の平均を比較すると約5%減少した」と同社は書簡で述べた。
この発表後の数分間で、コインベースの株価は7%近く急落した。年初来では、暗号資産に対する強気な見方が広がる中、株価は約22%上昇している。
アメリカでは規制の不透明感が続いているにもかかわらず、同社は今年、いくつかの新しいプロジェクトを開始しており、直近ではVisaデビットカード保有者がほぼ即時にコインベースのアカウントに資金を送金できる機能が追加された。
取引高の多寡だけに頼らないように収益源を多様化するため、この取引所は、カストディ業務や現実資産(RWA)のトークン化への参加など、その他の事業を拡大することにも重点を置いている。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Coinbase Shares Slump After Big Q3 Earnings Miss on ‘Softer’ Market Condition