ブロックチェーン銘柄はどんな企業?──ETF「BLOK」に見る SBI、ヤフー抱えるZホールディングスほか

「ブロックチェーン関連銘柄」と検索すると、実に多くの企業名がヒットするが、その中には仮想通貨・暗号資産の取引所やブロックチェーン開発を主要事業としている企業だけでなく、実証実験をしただけ、研究はしているものの決して主要事業としていないところも含まれる。つまりブロックチェーン銘柄の定義はそれぞれということだ。

今回は、この分野のETF(上場投資信託)「BLOK Amplify Transnational Data Sharing ETF」の組み入れ銘柄を見ていこう。

BLOKとはどんなETFか?構成銘柄は?

BLOKは、ブロックチェーン技術の開発や使用に積極的に関与している企業の銘柄で少なくとも8割投資するETF。2019年10月末現在、米国を中心に日本や韓国などの54銘柄で構成されている。そのうち日本企業(東証上場銘柄)はこの8社だ。なおLINE、ネクソンも入っているが、東証ではなくそれぞれNYSEとKRXの銘柄が採用されている。

GMOインターネット <9449> マイニング事業、取引所事業

GMOインターネットは仮想通貨マイニング事業を営んでいるほか、グループにGMOビットコインを持ち仮想通貨取引所を運営。

デジタルガレージ <4819> 子会社に開発会社抱える

デジタルガレージは大和証券グループ本社と合弁でDG Daiwa Venturesを設立。次世代技術を持つスタートアップに投資するファンド「DG Lab Fund II E.L.P. Cayman」(DG Lab2号ファンド)を組成、ブロックチェーン企業にも投資。また子会社のCrypto Garageでブロックチェーン金融事業者向けアプリケーションを開発している。

SBIホールディングス <8473> リップルに注力

SBIホールディングスは子会社のSBI VCトレードで取引所事業を運営。米国FinTechベンチャーのRipple社とジョイントベンチャー・SBI Ripple Asiaを設立、ブロックチェーン技術を活用したフィンテックソリューションの企画・開発、コンサルティングを行っている。そのほか、Orbなどとともに、ブロックチェーン技術を使った「Sコインプラットフォーム」を通じて、決済用コイン「Sコイン」の実証実験を行っている。またSBIインベストメントとともに、AIおよびブロックチェーン分野を主な投資対象としたベンチャーキャピタルファンド 「SBI AI&Blockchainファンド」を組成している。

楽天 <4755> 楽天ウォレットで交換業

楽天は子会社の楽天ウォレットで仮想通貨交換業を運営するほか、過去には独自の暗号通貨「楽天コイン」を発表したり、英国に「楽天ブロックチェーン・ラボ」を開設したりしている。

Zホールディングス <4689> 子会社が取引所に出資

傘下にヤフーなどを抱えるZホールディングスは、子会社Zコーポレーションが仮想通貨取引所TaoTao(タオタオ)に出資している。またSBIホールディングスとも金融領域での業務提携を発表している。

マネックスグループ <8698> データベースサービスも提供

マネックスグループはコインチェック取引所を運営しているほか、子会社マネックスクリプトバンクが仮想通貨・ブロックチェーンに関するデータベースサービス「LOOKBLOCK」(ルックブロック)を開発している。

ソフトバンクグループ <9984> Zホールディングスの親会社

前出のZホールディングスを子会社に持つソフトバンクグループ。グループのソフトバンクが、米TBCASoftや日本IBMなどとともに通信事業者向けのブロックチェーン・ソリューションを活用する構想を発表している。

リクルートホールディングス <6098> 積極的に出資

グループの中間持ち株会社であるリクルートが、ブロックチェーン関連スタートアップ企業への投資を目的とした新ファンドRSPブロックチェーン・テック・ファンドを設立。また投資子会社・RSPファンド6号を通じ、ブロックチェーン技術を活用した個人認証プラットフォームを提供するShoCard(ショーカード)へ出資もしている。リクルートテクノロジーズもブロックチェーンの実証実験を実施している。

米国・中国・韓国ではどんな企業が組み入れられているか

日本企業以外でも広く知られている企業をいくつかあげると、カカオやサムスン、NAVERなど韓国企業もあるが、やはり目立つのは米国企業だ。フェイスブック、スクエア、IBM、ゴールドマン・サックス、アルファベット、JPモルガン・チェース、アカマイ・テクノロジーズ、オラクル、ビザ、アメリカン・エキスプレス、マスターカードなど金融やITの大手が名を連ねている。

中国企業では、アリババ、バイドゥ、テンセントなどが組み入れられている(アリババはNYSE、バイドゥ、テンセントはHKEx銘柄)。

企業名比率
GMO INTERNET INC4.28%
KAKAO CORP3.90%
DIGITAL GARAGE3.89%
SBI HOLDINGS INC3.65%
GLOBAL UNICHIP COR3.25%
FACEBOOK INC3.12%
RAKUTEN INC3.04%
SQUARE INC3.03%
INTERNATIONAL BUSINESS MACHS COM3.02%
Z HOLDINGS CORP2.90%
OPERA LTD2.71%
INTERCONTINENTAL EXCHANGE INC COM2.70%
LINE CORP2.68%
GOLDMAN SACHS GROUP INC2.68%
ALPHABET INC2.64%
GALAXY DIGITAL HOLDINGS LTD2.55%
MICROSOFT CORP2.46%
TAIWAN SEMICONDUCTOR MFG LTD SPONSORED ADS2.31%
OVERSTOCK COM INC DEL2.31%
ACCENTURE PLC IRELAND2.12%
CME GROUP INC2.02%
HUT 8 MNG CORP NEW COM1.89%
SAMSUNG ELECTRONIC1.79%
JD COM INC1.63%
SAP SE1.56%
NVIDIA CORP1.52%
ORACLE CORP1.49%
NEXON GT CO LTD1.47%
IG GROUP HLDGS1.46%
JPMORGAN CHASE & CO.1.44%
NETEASE INC1.43%
PLUS500 LTD1.33%
ADVANCED MICRO DEVICES INC1.31%
NAVER CORP1.25%
MONEX GROUP INC1.20%
AKAMAI TECHNOLOGIES INC1.15%
QIWI PLC1.11%
CISCO SYS INC1.08%
ALIBABA GROUP HLDG LTD1.07%
TD AMERITRADE HLDG CORP1.02%
BAIDU INC1.01%
NASDAQ INC1.01%
SOFTBANK GROUP CO0.98%
DOCUSIGN INC0.95%
RECRUIT HLDGS CO L0.92%
SIGNATURE BK NEW YORK N Y0.90%
MONEYGRAM INTL INC0.84%
VISA INC0.80%
BANCO BILBAO VIZCAYA ARGENTARI SPONSORED ADR0.80%
TENCENT HLDGS LTD0.77%
BOC HONG KONG HLDG0.74%
AMERICAN EXPRESS CO0.68%
BANCO SANTANDER SA0.56%
MASTERCARD INC0.54%
WIRECARD AG 0.41%
Cash & Other 0.65%

このほかにもある「ブロックチェーン」銘柄

以上はあくまでETF「BLOK AMPLIFY TRANSFORMATIONAL DATA SHARING ETF」の組み入れ銘柄、つまりAmplify Investmentsが目利きしたブロックチェーン銘柄に過ぎない。このほかにもブロックチェーンに携わっている企業は、システム開発、不動産、シンクタンクなど複数ある。今後ブロックチェーンが金融やその他の業界で使われていくとみるのであれば、今回取り上げた企業に限らず、関連銘柄には注視しておきたいところだ。

文:濱田 優
編集:小西雄志
写真:Shutterstock.com