- ビットコインは過去24時間で1.9%下落したが、暗号資産市場全体で見るとさらに大きな下落が起きている。
- ポリマーケットでのトランプ氏の勝利オッズも打撃を受けており、現在は10月30日の67セントから下落した61セントで取引されている。
- あるアナリストは、この価格動向は選挙の不確実性に起因する可能性があるが、必ずしもそうとは限らないと指摘した。
ビットコイン(BTC)が史上最高値更新まであと数ドルに迫ってからわずか数日しか経っていないが、来週のアメリカ大統領選挙の結果をめぐる不確実性の高まりが、暗号資産(仮想通貨)市場を押し下げている可能性がある。ビットコインは過去24時間で1.9%下落し、現在7万600ドル(約1059万円、1ドル150円換算)で取引されている。一方、ステーブルコインと取引所コインを除く時価総額上位20位の暗号資産で構成されるCoinDesk 20 Index(CD20)は同期間で3.9%下落している。下落幅が大きいのはイーサリアム(ETH)の5.3%。
市場は様々な理由で動くが、一部の市場ウォッチャーは、暗号資産に友好的な共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の勝利オッズの縮小が暗号資産下落の原因だと考えている。暗号資産で賭けを行うサイト、ポリマーケット(Polymarket)では、トランプ氏の勝利オッズは10月31日に、48時間前の67%から61%まで落ち込んだ。民主党のカマラ・ハリス(Kamala Harris)候補の勝利オッズは33%から39%に急上昇した。
一方、トランプ氏の来週の勝算の代理指標だと一部で見なされているトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media and Technology Group)の株価は、前月の352%上昇の後、過去3日間で34%急落した。
31日はより広範囲の伝統的市場も厳しい状況にあり、ナスダックは2.4%、S&P 500は1.6%下落した。
ビットワイズ(Bitwise)の最高投資責任者(CIO)を務めるマット・ホーガン(Matt Hougan)氏は、「過去数日間の両党の大きな失態(プエルトリコ、ゴミ)により、選挙が非常に接戦であり、イベント次第となる可能性があることを人々は思い出した」とし、「これによって不確実性が再び持ち込まれた」と指摘した。
しかし、この見方には全員が納得しているわけではない。暗号資産ヘッジファンド、レッカー・キャピタル(Lekker Capital)の創設者クイン・トンプソン(Quinn Thompson)氏はCoinDeskに対し、アメリカの選挙は現在の取引環境の一側面に過ぎないと語った。トレーダーは、テクノロジー企業の業績、イランとイスラエルの緊張関係の継続、今週行われた政府予算発表後の英国国債利回りの急上昇も注視していると指摘した。
トンプソン氏は、20日間でビットコインを22%押し上げ、トランプ氏のポリマーケット勝利オッズを1カ月強で47%から67%に押し上げた強いモメンタムの後でトレーダーが単に利益確定をしている可能性があると指摘した。
トンプソン氏は、「カマラ氏のポリマーケットのオッズはほぼ1:2に落ち込んだが、多くの人が五分五分だと考えていることを考えると、平均回帰は全く理にかなっている」とし、「現実では、選挙まで全員が足踏み状態で非常に慎重になっているため、選挙直前のこうした動きには多くのノイズが含まれることになる」と説明した。
同様に、暗号資産取引会社GSRのリサーチディレクターであるブライアン・ルディック(Brian Rudick)氏はCoinDeskに対し、トランプ氏のポリマーケット勝利オッズがビットコインを押し下げているものの、株価の下落を考慮すると、ビットコインは「非常に良好」な振る舞いをしているとコメントした。
ルディック氏は、「トランプ氏の選挙勝利オッズとビットコイン価格の相関は、トランプ氏が5月にデジタル資産を受け入れ始めて以来、わずか25~35%にすぎない」と指摘した。一方で、選挙日が近づくにつれてこの相関が高まる可能性があると述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:Crypto Slumps Alongside Trump’s Victory Odds on Polymarket as Uncertainty and Profit-Taking Rise