- ビットコインが年初来で55%上昇しているのに対し、ブラックロックの長期米国債ETF(TLT)は8%下落。
- 米国債は流動性のある世界的な準備資産と考えられている。
- ビットコイン・ドミナンスは、週末に暗号資産市場全体の60.56%となり新高値を記録した。
ビットコイン(BTC)は暗号資産(仮想通貨)市場でますます優位性を増しており、米国債に対する重要性が高まっている。米国債は米国の金融システムの基盤であり、世界最大かつ最も流動性の高い市場の1つだが、リターンを求める投資家のなかにはよりリスクを取ろうとする者もいる兆候がある。
先週、世界最大の暗号資産であるビットコインが3月の史上最高値である7万3000ドルを上回る水準に近づいたとき、ブラックロックの「iシェアーズ米国債20年超ETF(上場投資信託)」の価値の800倍という記録的な価格で取引されていた。これは2021年11月のビットコインの前回のピーク時の466倍から上昇している。
世界最大の経済大国の政府の信用に裏付けられた国債は、所有するのが最も安全な資産の1つと考えられている。国債は信頼できる価値の保存手段とみなされるため、世界中の多くの中央銀行が準備資産として保有している。また、世界中の金利のベンチマークとしての役割も果たしており、利回りが上昇すれば価格は下落し、その逆もまた然りだ。
これは一部の投資家にとっては問題となる可能性がある。新型コロナウイルスが世界的に流行したときに金利が上昇し始めて以来、私たちは経済の不確実性の時代に突入したようだ。いくつかの理由から、金利が0%に戻る可能性は低いとされている。根強いサービスインフレ、米国の2兆ドル(約306兆円、1ドル153円換算)近い財政赤字(対GDP債務比率はほぼ100%)、東欧や中東での紛争などが要因だ。
価格上昇の動機がないことが、総資産600億ドル(約9兆1800億円)のETFが今年7%の損失を出した一方、ビットコインが55%上昇した理由の可能性がある。この相対的なパフォーマンスは、投資家がポートフォリオの一部を長期国債からビットコインに移している可能性を示しているかもしれない。
ビットコインの基本的な特性や、今年米国に上場した現物ETFが大成功を収めたことから、経済の不確実性が続くなかでビットコインが一部の国際的な投資家にとって比較的安全な資産として浮上し始めている可能性がある。
ビットコインの上昇により、ビットコイン・ドミナンス、つまり暗号資産市場の時価総額全体に占める割合は60.56%と新たなサイクル高値に達した。暗号資産投資家にとって、これは逆にリスクオフの動きを示している可能性があり、米国の選挙を前に、保有しているリスクのより高い代替資産(アルトコイン)を手放し、市場のリーダーを支持している。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:米財務省(Nikhilesh De/CoinDesk)
|原文:Bitcoin Hits Record High Against BlackRock’s U.S. Treasury ETF as Investors Search for Returns: Van Straten