ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が再びホワイトハウスを手中に収めることになりそうだ。赤(共和党)が優勢な州からあと3人の選挙人票を獲得すればよいだけであり、カマラ・ハリス(Kamala Harris)副大統領を破り、世界最大の経済大国における暗号資産(仮想通貨)に対してより寛容な規制環境が整うことになるはずだ。
今回の選挙戦では、暗号資産は大きな争点とはならなかったが、共和党の大統領候補として3期連続で出馬したトランプ氏は、ビットコインカンファレンスで講演を行ったり、クリプトバーでハンバーガーを振る舞ったり、また、アメリカ証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長の更迭を公約に掲げるなど、暗号資産業界にアピールする言動を数多く行い、業界に積極的に働きかけていた。民主党候補のハリス氏は、この業界を支援する一般的な意見をいくつか述べたことはあるが、自身の考えを深く掘り下げてはいない。
ABC、CBS、Fox、NBCの各局はトランプ氏が19人の選挙人を持つ重要な「ブルーウォール」州であるペンシルバニア州で勝利すると予測した。同じく3人の選挙人を持つアラスカ州とともに、トランプ氏は勝利するだろう。ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏が総投票数でも勝利する可能性があると予測したが、これは2004年のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏以来、共和党候補が達成したことのない偉業だ。記事執筆時点で、トランプ氏はハリス氏を約500万票リードしている。
共和党はまた、オハイオ州とウェストバージニア州の議席を奪い、上院の支配権も獲得した。
トランプ氏は大統領1期目に、バイデン政権で廃案となったウォレットに関する提案と、後にゲンスラー氏の下で最終決定された特別目的ブローカーディーラーライセンスを導入した。
そのような経緯にもかかわらず、トランプ氏は今回の選挙戦で、証券規制当局に新しい委員長を任命することを約束し、ソーシャルメディアや演説で「ビットコインはアメリカで製造される」と誓った。
また、彼はダークネットマーケットプレイスの作成と運営で複数の罪で有罪判決を受けたシルクロード(Silk Road)開発者のロス・ウルブリヒト(Ross Ulbricht)を釈放すると約束した。
トランプ氏は、NFT(非代替性トークン)を複数回販売した後にすでに獲得していた支持にさらに上乗せして、その働きかけの結果、暗号資産業界の一部から声高な支持を得た。
「ビットコインは、ご存知のとおり、単なる技術の驚異ではない。協力と人間の功績、そして形成された多くの関係の奇跡だ。多くのリーダーたちと会議、円卓会議を開いたばかりだが、それは素晴らしいことだ」とトランプ氏はナッシュビルでのカンファレンスで語った。「そこにはすばらしい友情がある」。
トランプ氏はまた、最近はより権威主義的なレトリックに傾倒し、アメリカ国内の「敵」について警告し、過去数カ月の選挙運動で大量の国外追放を約束している。また、前大統領の経済政策は、アメリカの貿易相手国からのさまざまな輸入品に関税を課すことに大きく依存している。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:Trump’s Triumph Is Also Crypto’s: Gensler, Regulatory Clouds Likely to Vanish