- ドナルド・トランプ次期大統領が数多く公約していることのひとつ、ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長を解任し、新しい委員長を任命するという公約は、早ければ1月20日の就任式当日に実現する可能性がある。
- ゲンスラー氏はトランプ氏が就任する前に辞任する可能性もあり、その場合は民主党が暫定委員長を任命する。
トランプ次期米大統領が暗号資産(仮想通貨)業界のリーダーたちから多くの支持を得たことは、ウィンクルボス兄弟、マーク・アンドリーセン氏、ライアン・セルキス氏など、数例をあげただけでも明らか。これは、トランプ氏が米国の暗号資産業界の拡大と継続的な発展を支援するという数多くの公約を掲げていた結果だ。
トランプ氏が暗号資産コミュニティを味方につけるために、最も重要だった公約の1つは、おそらく「就任初日にゲリー・ゲンスラーSEC委員長を解任する」だった。
トランプ氏は、ゲンスラー氏を辞任させることはできないが、1月20日の就任後すぐに、新しい暫定委員長を指名できる。また、上院に対して新しい委員長を指名することもでき、上院はその指名の承認を行う。
上院は共和党が過半数を奪還したため、トランプ氏が指名した人物は委員長として承認される可能性が高く、数カ月以内に新しい委員長が就任することになるだろう。
例えば、ゲンスラー氏は2021年2月3日に現バイデン大統領によって指名され、4月14日に上院で承認され、4月17日に就任宣誓を行った。
懐疑的な発言を続けるゲンスラー氏
ゲンスラー氏は、暗号資産にはすでに十分な規制や規則が存在していると主張しており、業界リーダーたちはこの現状維持に反対しているため、業界に多くの敵を作っている。最大の相違は、ゲンスラー氏が(前任者であり、当時のトランプ大統領が任命したジェイ・クレイトン氏も同様だったが)中央集権型取引所で行われるほとんどの暗号資産取引は連邦証券法に違反していると述べていることだ。
暗号資産運用会社グレイスケールとの長年の交渉と法廷闘争の末に、現SECが承認したビットコインETFとイーサリアムETFの取引開始を除けば、SECは暗号資産企業が正しい方向に向かうことをサポートするために、それほど多くのことを行っていない。すべての暗号資産が証券に該当するかどうかも明らかにしていない。
ゲンスラー氏は、暗号資産に対して公然と懐疑的な見方を示し続けている。先月、同氏は自身の見解は変わっていないと繰り返した。10月にマンハッタンのニューヨーク大学ロースクールで講演した際、同氏は次のように述べた。
「失礼ながら、“2024年”にこの分野の指導的立場にある人たちは、現在、刑務所にいるか、身柄引き渡しを待っている」
トランプ氏の意向を知るゲンスラー氏は、1月に新大統領が就任する前に自ら辞任するという選択肢もある。その場合は、トランプ氏が就任後に後任委員長を指名する前に、バイデン大統領が暫定委員長を任命することになる。
SECが暗号資産取引所に対するさまざまな訴訟において、未登録証券として名指しした多くの暗号資産はここ数日、上昇している。例えば、ファイルコイン(FIL)、アルゴランド(ALGO)、ポリゴン(POL、旧MATIC)、ニアプロトコル(NEAR)などで、トランプ政権下で規制が緩和されるとの期待から、上昇したようだ。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:ゲーリー・ゲンスラーSEC委員長(Jesse Hamilton/CoinDesk)
|原文:Here’s How Quickly Gary Gensler Could Lose His SEC Chair Gig Under Trump