- ソラナのオンチェーン取引エコシステムは、驚くほど高い収益を生み出している。
- その理由は、同ネットワークのユニークなアーキテクチャーとトレーダーに提供される可能性にある。
- ソラナ上の取引エコシステムは、独自セクターとして捉えると、暗号資産の中で、ステーブルコイン、ソラナ自体を含む複数のレイヤー1に次いで、3番目に収益性の高いカテゴリーとなっている。
ソラナのオンチェーン・マーケットにインフラを提供することは、高い収益につながる──これは、米暗号資産取引所コインベースが米時間8日に発表したレポートが明らかにしたことだ。
つまり、ソラナ・ブロックチェーン上の取引エコシステムを独自の金融セクターとして捉えると、暗号資産(仮想通貨)の中で、ステーブルコイン、ソラナ自体を含む複数のレイヤー1チェーンに継いで、3番目に収益性の高いカテゴリーとなっている。
「ソラナの取引関連アクティビティは、ソラナの取引手数料の75~90%を占めており、イーサリアム(Ethereum)および、ベース(Base)、アービトラム(Arbitrum)のようなネットワークよりもはるかに高い」とコインベースのアナリストはCoinDeskに語った。
「レイヤー2ソリューションにも成長とイノベーションが見られるが、ソラナと比べると、スケーラビリティの課題とユーザーが断片化する問題に直面している。ソラナのアプローチ、特にその手数料のダイナミクスとユーザーアクティビティのパターンは、依然として際立っている」
コインベースは今週、同社のラップドビットコイン「cbBTC」をイーサリアム、独自レイヤー2のBaseに次いで、ソラナにも展開した。これにより、ソラナ上でビットコイン(BTC)の取引、貸付、借入が可能になる。DeFi(分散型金融)がエコシステム内で本格的に普及するために不可欠な機能だ。
イーサイアムDeFiを上回る収益
データで見てみよう。
DefiLlamaのデータによると当記事執筆時点、ステーブルコインのテザー(USDT)とUSDコイン(USDC)は、過去7日間でそれぞれ9300万ドル、2800万ドルの収益を上げている。一方、イーサリアム、トロン、ソラナの各ネットワークの収益は、1900万ドル、1100万ドル、960万ドル。そして、ソラナを基盤とするプロトコルとトレーディングボットがそれに続いている。
ソラナ上のトレーディングボット・プラットフォームのPhotonとミームコイン作成プラットフォームのpump.funは、7日間でそれぞれ600万ドル以上を稼ぎ出し、収益ではイーサリアム基盤のDeFi大手のメーカー(Maker)、リド(Lido)、アーベ(Aave)を上回っている。
収益の大半は、ユーティリティ性はほぼ持たず、ボラティリティの大きなミームコインによるものだ。ソラナ基盤のpump.funは、ユーザーが簡単に新しいトークンを作成でき、ミームコイン・トレーディングのハブ的存在となっている。pump.funでは、2024年1月にプロトコルが稼働して以来、300万枚以上のミームコインが発行されたとコインベースは述べている。
さらに、ユーザーが素早くミームコインを売買できるTelegram(テレグラム)の取引ボットが存在する。「テレグラムの取引ボットが生み出す収益は驚くべきもので、pump.funの収益を上回っている」とアナリストは記している。最も収益性の高いボット、例えばPhoton、Bankbot、Trojanなどは、すべてソラナ・ブロックチェーン向けだとレポートは指摘した。
「これは、ソラナ上の多数のトレーダーが、おそらくは原資産のボラティリティの高さ(および流動性の低さ)のために、取引手数料にあまり敏感でないことを示している。また、我々の調査で明らかになったことは、ソラナの手数料支出は一般的に、米西海岸の時間帯と重なる日中の後半にピークを迎えることであり、これは同地域にアクティブなユーザーの明確な集団が存在することを示している」
ユーザーに合わせたオンチェーンエコシステムの構築
ソラナの開発者は、ネットワークのオンチェーン環境がユニークなダイナミクスを生み出していることを認識しており、その利点を最大限に活用しようとしている。例えば、無期限先物を提供する分散型取引所(DEX)Zeta Marketsは、ユーザーが複数のウォレットを使用することなく、ミームコインを購入し、レバレッジをかけられるようにしたいと考えている。
「トレーダーは『なぜ中央集権型取引所(CEX)で取引する必要があるのか?』という感じだ。彼らはすでにソラナ・チェーン上に全資金を保有している」とZeta Marketsの創業者トリスタン・フリッツァ(Tristan Frizza)氏はCoinDeskに語った。
「もしすべてのミームコインをファントム(Phantom)ウォレットに保有していれば、無期限先物を使ってヘッジしたいと思うかもしれない。DEXならワンクリックで完了する」
使いやすさは大きな魅力だが、CEXがまだ取り扱っていないリスクの高いコインを上場させることもできるとフリッツァ氏は述べた。ステーブルコインではなく、ソラナ(SOL)を先物ポジションの担保にできることはもちろんだ。
「強気相場でステーブルコインを保有したい人はいない。ウォレットにあるものすべてを証拠金口座に入れたいだけだ」
これらはすべてデータに表れている。ソラナDEXの利便性により、これらのプロトコルの取引高は、コインベースの取引高から乖離しつつある。一方、イーサリアムDEXの取引高はコインベースの取引高との相関性が高まっている。
「ソラナの取引アクティビティがCEXから比較的切り離されており、独自のエコシステムを形成しつつあることを示している」とコインベースのレポートは述べている。
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Adam Nir/Unsplash, modified by CoinDesk
|原文:The Unique Way the Solana Trading Ecosystem Is Making Bank