バイナンス、北京オフィス開設か──中国ではブロックチェーン熱が再発中

マルタに拠点を置く仮想通貨取引所「バイナンス(Binance)」は北京にオフィスを開設する見込み。本件に詳しい情報筋2人がCoinDeskに語った。バイナンスはすでに上海にオフィスを構えている。

新オフィスの目的、開設時期は不明。だがこの動きの前には、ブロックチェーンへの新たな野望を示した習近平国家主席をはじめ、中国当局からの一連の発表があった。

バイナンスのトップと中国当局との関係は最近、良好なようだ。バイナンスは今夏、中国のデジタル法定通貨計画に関するレポートを出し、またバイナンスのチャンポン・ジャオ(Changpeng Zhao)CEOは最近、ツイッターで中国の中央銀行は仮想通貨業界に好影響を与えていると考えていると述べている。わずか1年前には、中国の検閲ファイアーウォールがバイナンスのウェブサイトへのアクセスをブロックした。

最近、バイナンスの幹部は同取引所が複数の政府と協力して、「ヴィーナス(Venus)」と呼ばれるステーブルコイン・プロジェクトに取り組んでいることを公式に語った。バイナンスの共同創業者兼チーフ・マーケティング・オフィサーのイー・ヘー(Yi He)氏は、バイナンスはこうしたプロジェクトを通して、政府が仮想通貨業界を「十分に監督」することを支援し、「安定し、持続可能な開発」を実現するとブルームバーグに語った。

ジャオ氏はカナダ育ちだが、中国で生まれ、中国を拠点とする仮想通貨取引所「オーケーコイン(OkCoin)」で働いた後、バイナンスを設立した。バイナンスは2018年9月、初めて中国の仮想通貨企業に投資した(投資先は、マーズ・ファイナンス[Mars Finance])。バイナンスの初期の投資家の多くは、ブラックホール・キャピタル(Black Hole Capital)やファンシティ・キャピタル(Funcity Capital)など中国のテクノロジー業界出身だ。

ジャオ氏は10月29日にツイッターで、バイナンスは現在、とりわけ10月初めに中国で利用可能になったピア・ツー・ピア機能を通じて、中国のユーザーから「1日あたり数百万ドル」相当の取引を得ていると付け加えた。しかし、中国のユーザーへのサービス提供に注力しているからといって、同社が「ヴィーナス」ステーブルコイン・プロジェクトやコンプライアンスの取り組み以外の製品やサービスについて当局と協力していることにはならない。

「公開されているもの以外はなにもない」とジャオ氏はツイッター動画の中で述べ、中国政府の戦略に言及した。

「私の見解はすべて公開情報をもとにしている」

CoinDeskはバイナンスにコメントを求めている。情報が入り次第、記事を更新する。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸
写真:Binance CEO Changpeng Zhao image via CoinDesk archives
原文:Binance to Open Beijing Office Amid China’s Renewed Blockchain Push