次の四半期はFOMOによる大きな動きか:米機関投資家「フォーム13F」提出
  • ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカといった米大手銀行の富裕層顧客は、第3四半期(7-9月期)もビットコインETFを購入した。
  • ビットコインが横ばい推移したため、積極的なものではなかったが、第4四半期(10-12月期)はこのところの史上最高値更新を受けて、再び関心が高まる可能性がある。

ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、バンク・オブ・アメリカといった米大手銀行の富裕層顧客は、第3四半期も引き続き、ビットコインETFを通じてビットコイン(BTC)を着実に買い増し(あるいは取引)していた。米大統領選の結果を受けてビットコインが大幅に上昇していることを踏まえると、第4四半期には動きが活発化する可能性もある。

「フォーム13F(機関投資家が四半期ごとにSECに提示する書類)は、第3四半期のビットコインの低調な価格推移を反映している」と、米CoinDeskのシニアアナリスト、ジェームズ・ヴァン・ストラテン(James Van Straten)は述べた。

「ほとんどの機関投資家は資本の展開やトレンドの観察に慎重であり、歴史的に強気な第4四半期を先取りする動きをとらなかった」

ゴールドマン・サックスは、第3四半期に7億1000万ドル(約1100億円、1ドル154円換算)相当のビットコインETFを保有していたと報告した。顧客のビットコインETFへの投資はほぼ倍増、前四半期は4億1800万ドルだった。同行が保有するビットコインETFのほとんどはブラックロックのiシェアーズ・ビットコイン・トラスト(IBIT)で、1300万口弱を保有していた。

モルガン・スタンレー、キャントール・フィッツジェラルド、カナダロイヤル銀行、バンク・オブ・アメリカ、UBS、HSBCなどはポジションを大幅に増減させることはなかった。新規参入組はオーストラリアの投資銀行マッコーリー・グループ(Macquarie Group)で、IBITを480万ドル相当、13万2355口を購入した。ウェルズ・ファーゴは、ビットコインETFへの投資はごくわずかであり、その大半はグレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)とグレイスケール・ビットコイン・ミニ・トラスト(BTC)となっている。

運用資産残高1億ドル以上の機関投資家は、有価証券の保有状況を開示するためにSEC(米証券取引委員会)に四半期報告書「フォーム13F」を提出する。第3四半期の提出期限は11月14日だった。

ブラックロックは9月30日時点で、254万口、9160万ドル相当の自社ETFを保有していた。

低調な第3四半期から一転

第3四半期は、ビットコイン価格がほぼ横ばいから下落傾向を示し、価格は主に5万3000〜6万6000ドルの間で推移した。第2四半期に続き、機関投資家の低調な関心を反映した可能性がある。

だが、暗号資産支持を打ち出すドナルド・トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、第4四半期には状況は大きく変化した。ビットコインは数カ月にわたるレンジ相場を上抜けし、3月に記録した史上最高値約7万3700ドルをあっという間に更新、9万3400ドル超まで上昇した。

最近の価格動向と、2025年1月に発足する第2期トランプ政権による暗号資産の受け入れ姿勢への期待が相まって、機関投資家とその顧客の間で「取り残されることへの恐怖(FOMO:fear of missing out)」がかなり高まっている可能性がある。少なくとも、次に提出されるフォーム13Fは、はるかに興味深いものになりそうだ。

「暗号資産フレンドリーなトランプ氏の再選と、ビットコインの急騰により、機関投資家が最低でも1%をビットコインに割り当てるよう、水面下で多くの駆け引きが行われるだろう」とヴァン・ストラテン氏は述べた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Shutterstock
|原文:Bank Clients Just Dipped Their Toes Into Bitcoin ETFs, but Q4 Could See a FOMO Spike