企業向け仮想通貨ガイダンスを発行:イギリス税務当局

イギリス税務当局は、1年前の約束どおり、企業向けの仮想通貨税務ガイダンスを発行した。

昨年、個人納税者向けの取り決めを明確化したのち、イギリス歳入関税庁(HMRC)は2019年11月1日(現地時間)、ビットコインなど仮想通貨(暗号資産)についての企業向けガイダンスを発行した。仮想通貨は分類上、ユーティリティ・トークンおよびセキュリティ・トークンとは分離されている。税務当局によると、この2つのカテゴリーのガイダンスは現在、準備中だ。

最新のガイダンスでは仮想通貨はお金や通貨ではなく、コモディティとして引き続き、定義されている。

トークン取引

仮想通貨、あるいはマイニングに関する商品やサービスの販売を含め、トークン取引に携わる企業には納税義務がある。キャピタルゲイン税、法人税、所得税、国民保険料、印紙税、付加価値税などの税金があり、その区別は当局の判断による。

ほとんどのマイニング行為は、取引という形で課税対象となる。もしマイニングしたコインを取引しなければ、それらは雑収入とみなされ、課税対象となる。

しかしイギリス歳入関税庁は自宅でのマイニングは課税対象ではないとしている。

「トークンをマイニングする空き容量のある自宅のコンピューターを使用することは、通常は取引に相当しない。(中略)利益を期待してトークンをマイニングすることはおそらく取引行為をもたらすだろう」

投資と賃金

企業のトークン保有は売却時に課税対象となり、キャピタルゲイン税と法人税の両方が課される。個人向け仮想通貨ガイダンスでは、同様のトークンは計算を簡単にするためにプールできる。

「ある人がビットコイン、イーサリアム、ライトコインを保有している場合、3つのプールを持つことになり、それぞれは独自の『プール許容コスト』を持つことになる。このプール許容コストは、より多くの特定のトークンを取得したり、売却することによって変化する」

ハードフォークとエアドロップのガイダンスも提供されているが、2018年発行の個人向けガイダンスと明白な違いはない。

さらに、新たな税法下では従業員は仮想通貨で支払いを受けることができる。当局は仮想通貨をお金と見なしていないにも関わらず。

だが、雇用主は仮想通貨を年金資金として使うことはできない。歳入関税庁は暗号資産をお金や通貨ではなく、コモディティと見なしているためだ。

仮想通貨市場の急速でダイナミックな性質を考えると、新しいフレームワークには特定の解釈の余地が残されている。

「歳入関税庁の見解は、この分野の発展にしたがって、より進化する可能性がある」とガイダンスは記した。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Tax forms and U.K. pounds image via Shutterstock
原文:UK Tax Authority Issues Crypto Guidance for Businesses