トランプ氏のメディア企業、暗号資産取引所バックトの買収を検討:報道
  • ドナルド・トランプ氏のメディア企業が暗号資産市場に進出。
  • バックトの暗号資産カストディ事業は、買収の対象外である。
  • トランプ氏はこれまでワールド・リバティ・ファイナンシャルを推進しており、今回の取引により、暗号資産への関与をさらに深めることになる。

フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙の報道によると、ソーシャルメディアプラットフォーム「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」の親会社であるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(Trump Media and Technology Group:TMTG)は、暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームのバックト(Bakkt)の買収に向けて協議を進めている。

全額株式による取引になる可能性があり、TMTGは、18日時点で時価総額が1億5000万ドル(約232億5000億円、1ドル155円換算)強のバックトを吸収することになる。TMTGはわずかな収益にもかかわらず、トランプ氏再選後に個人投資家からの関心が高まったことで、60億ドル(約9300億円)の株式評価額を誇っている。

バックトは、大規模なデリバティブ取引所とニューヨーク証券取引所(NYSE)を所有するインターコンチネンタル取引所(ICE)によって設立された。バックトの当初の目標は、スターバックス(Starbucks)の顧客がビットコイン(BTC)でコーヒーを購入できるようにすることだった。

初代CEOを務めたのは、後に米上院議員となったケリー・ローフラー(Kelly Loeffler)氏。2021年にようやくデジタルウォレットを導入したが、昨年廃止された。バックトは現在、暗号資産カストディと取引サービスに注力している。今年2月、同社は12カ月分の運営資金すら手元にないと述べた。

今回の報道を受けて、バックトホールディングス(Bakkt Holdings Inc)の株価は18日に160%上昇した。

買収の話題は、トランプ氏が最近、トランプ一家と関係のあるDeFiプラットフォーム「ワールド・リバティ・ファイナンシャル(World Liberty Financial)」を推進したことに続くものだ。買収は、バックトの今後の方向性や、ビットコインへの注力などトランプ氏の拡大するメディア帝国内での潜在的な役割に影響を与える可能性がある。

ビットコインやイーサリアム(ETH)のようなデジタル資産を保有するバックトの暗号資産カストディ事業は苦戦を強いられているため、今回の買収からは除外される。この動きは、トランプ氏の勝利を受けて暗号資産市場が急騰し、ビットコインが過去30日間で30%超の上昇となったなかで起こった。

これとは別に、ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙は、トランプ次期大統領がコインベース(Coinbase)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)CEOと会談する予定だと報じた。

|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:ニューヨーク証券取引所
|原文:Donald Trump’s Media Group Eyes Purchase of Crypto Exchange Bakkt: Report