2024年:ビットコインがメインストリームに浮上した年

2024年は暗号資産(仮想通貨)業界にとって大きな進歩を遂げた年となった。ビットコイン(BTC)の普及は新たな高みに達し、規制の明確化が進んだ。機関投資家から広く一般投資家などメインストリームの認知まで、2024年は世界が暗号資産をどのように捉え、関わるかという点において大きな変化が見られた。今年の暗号資産を形作った主な出来事やトレンドを見ていこう。

2024年1月、SEC(米証券取引委員会)は11本のビットコインETFを承認した。これは暗号資産業界にとって大きな転換点となり、SECがビットコイン関連商品を規制・承認する意思があることを示すものとなった。ビットコインETFの承認に続けて、SECは7月にイーサリアムETFを承認した。ビットコインおよびイーサリアムの現物ETF承認は、金融市場における重要な進展であり、機関投資家がハイグレードな資産クラスに直接かつ透明性の高い方法で投資できることを意味する。

ニューヨークメロン銀行(Bank of New York Mellon)が暗号資産に参入する見通しだ。SECがデジタル資産のカストディ(管理・保管)サービスを承認したことで、業界の正当性はさらに高まる可能性がある。

米資産運用大手ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・ビットコイン・トラストは(iShares Bitcoin Trust)、SECがビットコインETFオプションを承認したことで、大きな後押しを得た。流動性が向上し、より広範な投資を集めることが可能になり、高度なヘッジ戦略の導入や、他のETF発行者による高度なオプションプロダクトの開発につながる。

シンシア・ルミス(Cynthia Lummis)上院議員は、米ドルを強化するための戦略的ビットコイン準備金を提案した。この法案「Boosting Innovation, Technology and Competitiveness Through Optimized Investment Nationwide(BITCOIN)ACT:全国的な最適化投資によるイノベーション、テクノロジー、競争力の強化法案:ビットコイン法案」は、ドルをビットコインに分散させることで、ドルの世界準備通貨としてのポジションを確保することが狙い。5年間で100万BTCを購入することで米国の国家債務を削減し、透明性の高いビットコイン保有を実現する。

米下院は「21世紀の金融イノベーションおよびテクノロジー法(FIT21)」を可決。これは消費者保護と規制の明確さを強化し、米国で暗号資産のイノベーションを促進させるために基盤を整えるものだ。FIT21法により、SECとCFTC(商品先物取引委員会)の役割が明確化され、暗号資産に関する明確なフレームワークが提供される。

SECへの提出書類「フォーム13F」によると、ミシガン州退職年金制度はイーサリアムETFを購入した最初の州年金基金となった。同制度は、グレイスケールETHトラスト(Grayscale ETH Trust)46万口(1100万ドル相当)を所有。すでに夏の時点で、アーク21シェアーズ・ビットコインETF(Ark 21Shares bitcoin ETF)690万ドル相当も保有していた。

同じくフォーム13Fによると、カナダの5大銀行であるカナダ・ロイヤル銀行(RBC)、トロント・ドミニオン銀行(TD Bank)、ノバスコシア銀行(Scotiabank)、モントリオール銀行(BMO)、カナダ帝国商業銀行(CIBC)は、ビットコインETFとイーサリアムETFの保有高を増やしている。カナダの銀行による保有額は3800万ドルを超え、特にモントリオール銀行は1670万ドル相当を保有している。

2025年1月〜3月までについてのフォーム13Fは、興味深いものになるだろう。2024年秋に新たにビットコインを購入した銀行や機関投資家が明らかになる。

マイクロストラテジーの2024年第3四半期(7-9月期)決算では、同社のビットコイン購入戦略が発表された。今後3年間で、同社はビットコイン投資のために420億ドルを調達するという。10月末時点、同社のビットコイン保有高は25万2220ビットコイン、約180億ドル相当に達した。

ビットコインブロックチェーンが700EH/s(エクサハッシュ/秒)の安全で安定した成長基盤を提供しているように、2024年の進歩は暗号資産産業の将来の発展に向けた強固な基盤を築き上げた。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:Kalle Kortelainen/Unsplash
|原文:Crypto for Advisors: 2024 – Bitcoin’s Year?