- テザーは、自社のユーロステーブルコインEURTを段階的に廃止すると発表した。ユーザーは今後1年間、EURTの償還を行える。
- これに代わり、同社はクアントズへの最近の投資やそのトークン化プラットフォームであるハドロンなど、新たなステーブルコインベンチャーの支援に注力する。
ステーブルコイン発行大手のテザー(Tether)が、自社のユーロステーブルコインEURTの廃止を決定した。
テザーは27日のプレスリリースで、「慎重な検討の結果、EUR₮のサポートを中止する決定を下した」と述べた。ユーザーは2025年11月27日までEURTの償還を行えるという。
この決定が下された背景には、欧州連合(EU)で事業を展開するデジタル資産企業が、今年末までに完全施行されるEU全域の規制である暗号資産市場(MiCA)法への対応に追われていることがある。
MiCAは、ステーブルコイン発行企業に対して規制に準拠することを求めており、従わなければ4億5000万人の消費者を抱える市場から撤退を余儀なくされる可能性がある。テザーのCEOであるパオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は新規則について批判の声を上げており、テザーはEUで事業を行うために必要な電子マネー機関(EMI)のライセンスを取得していない。一方、時価総額360億ドル(約5兆4000億円、1ドル150円換算)のUSDコイン(USDC)を発行する競合企業サークル(Circle)は、EUで事業を行うための要件を満たしたと発表している。
EURTはユーロステーブルコイン市場で大きな需要を集めることはなかった。CoinGeckoのデータによると、その時価総額は2700万ドル(約40億5000万円)に過ぎず、サークルのEURCの時価総額9000万ドルやステーシス・ユーロ(Stasis Euro)の1億3000万ドルに後れを取っている。参考までに、テザーの主力ステーブルコインであるテザー(USDT)の時価総額は1320億ドル(約19兆8000億円)だ。
テザーは最近、オランダを拠点とするステーブルコイン発行企業クアントズ(Quantoz)に投資した。また、小規模なMiCA準拠のステーブルコイン企業がトークンを発行するのを支援することを目的とするトークン化プラットフォーム、ハドロン(Hadron)を立ち上げた。
テザーは声明で、「現時点では、クアントズ・ペイメンツ(Quantoz Payments)が行った革命的なMiCAR準拠ステーブルコインであるEURQとUSDQの立ち上げなど、新たなベンチャーの支援の焦点を当てていく。これはテザーの先進的な技術ソリューションであるハドロン・バイ・テザー(Hadron by Tether)を活用している」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Twitter/Bitfinex, modified by CoinDesk
|原文:Tether to Shutter Euro Stablecoin as Key MiCA Deadline Looms