NECグループの独立シンクタンク、国際社会経済研究所(IISE)は11月28日、ファンクラブ加入状況と公演チケット購入に関する調査結果を発表した。この調査によると、ライブ・イベントのチケット購入者のうち43%がファンクラブに加入しており、その主な動機は先行チケット購入権(67%)となっている。
注目すべき点は、チケット購入時の不満として「人気公演のチケットが買えない/買いにくい」(29%)という声が多く挙がっていることだ。チケット不正転売禁止法の施行から5年が経過した現在も、依然として転売問題は解決していない。
同研究所はこうした課題に対し、「EX(エンターテインメント・トランスフォーメーション)」と呼ばれる新たな構想を提唱。Web3技術を活用し、チケット販売の透明性確保と不正転売防止を目指すものだ。
具体的には、VC(Verifiable Credentials:デジタル証明)や次世代KYC技術の導入による本人確認の厳格化、ブロックチェーン技術を活用した公式リセール(行けなくなったチケットの転売・購入)の整備などが検討されている。
公式リセールの仕組みに対しては80%が賛成しており、ニーズの高さが浮き彫りとなった。調査では「推し活」の実態も明らかになった。回答者の26%が推し活を実施しており、特に18-19歳の女性では53%に達する。推し活への⽀出額を「推し活に対する考えかた・態度」別で⾒ると、「他のファンに負けたくない」という意識を持つ⼈の⽀出⾦額が最も⾼く15万4669円となった。
ファントークンへの関心の高まりを受け、CoinDesk JAPANを運営するN.Avenueが展開するWeb3ビジネスコミュニティ「N.Avenue club」は12月10日、「推し活、スポーツエンタメを変える『魔法の』ファントークン:その商機と課題」をテーマとしたラウンドテーブル(研究会)を開催する。
|文:栃山直樹
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