- 現物イーサリアムETFは11月29日に過去最高の日次資金流入を記録し、この日で見ても今週全体で見てもビットコインETFを上回った。
- 今年ビットコインに遅れをとっていたイーサリアムの価格は、週間ベースでも月間ベースでもビットコインを上回るパフォーマンスを示した。
- あるトレーダーは、イーサリアムが「今サイクルで最も明白なキャッチアップ取引だ」と指摘した。
アメリカの現物イーサリアム(ETH)ETF(上場投資信託)は11月29日に過去最高の日次資金流入を記録した。これは、今年ビットコイン(BTC)を大きく下回るパフォーマンスだったイーサリアムがキャッチアップ取引として勢いを増していることを示す兆候の一つだ。
ファーサイド・インベスターズ(Farside Investors)がまとめたデータによると、短縮取引日だった29日に9つのイーサリアム現物ETFの合計で3億3290万ドル(約499億円、1ドル150円換算)の純資金流入を記録した。ブラックロック(BlackRock)のiシェアーズ・イーサリアム・トラスト(ETHA)とフィデリティ・イーサリアム・ファンド(FETH)が主導し、それぞれ2億5000万ドルと7900万ドルの新規資金を集めた。
イーサリアム現物ETFは29日で5営業日連続の純資金流入となり、SoSoValueのデータによると、4億5500万ドルの純資金流入で過去2番目に強い週を締めくくった。アメリカの伝統的市場が28日の感謝祭で休場だったため、今週は通常よりも取引時間が短い週だった。
イーサリアムETFは資金流入量で現物ビットコインETFを上回った。ビットコインETFは、29日に3億2000万ドルの資金流入を記録したものの、週間では純流出となった。
今年投資家の選好から外れ、価格動向やETFへの資金流入の面でビットコインに遅れをとっていたイーサリアムだが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の選挙勝利がアルトコインや分散型金融(DeFi)アプリケーションへの関心を再燃させたことで、最近復活を遂げている。
強力なETFへの資金流入に加え、コイングラス(CoinGlass)のデータによると、機関投資家向けのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)におけるETF先物の未決済建玉が過去最高の約30億ドル(約4500億円)に急増した。これは、イーサリアムに対するセンチメントが改善していることを明確に示している。
暗号資産トレーダーのエドワード・モラ(Edward Morra)氏は30日のX(旧Twitter)投稿で、イーサリアムについて「今サイクルで最も明白なキャッチアップ取引だ」と述べた。
この週のビットコインが10万ドル(約1500万円)を下回る水準で横ばいの推移をする中、イーサリアム価格もビットコインに対して相対的な強さを示した。CoinDesk Indicesのデータによると、イーサリアム価格は30日に3700ドル(約55万5000円)超えで5カ月ぶりの高値を記録し、週間ベースでも月間ベースでビットコインを上回るパフォーマンスを示した。しかし、年間ベースではまだ遅れをとっている。
LMAXグループ(LMAX Group)のマーケットストラテジストであるジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は29日のノートで、「ETH/BTC比率が約3年間の下降トレンドを経て主要な底を形成している可能性がある」と指摘した。
クルーガー氏は、「次期米政権下での規制環境の緩和が見込まれ、DeFi分野の見通しが改善したことがセンチメントの変化の主な要因だと考えている。市場参加者がイーサリアム投資に向けたより明確な道筋を見出せるようになったためだ」と述べた。
|翻訳・編集:林理南
|画像:CoinDesk
|原文:Ethereum ETFs See Record $333M Inflows, Outpacing Bitcoin Funds as Catch-Up Trade Gains Momentum