- シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の建玉は11月20日以降、約3万BTC減少した。
- 同期間、米国のビットコイン(BTC)現物ETFへの純流入額は30億ドル(約4500億円、1ドル=150円換算)を超えた。
- 11月29日、CMEの建玉は1日で過去最大の減少を記録した。
ビットコイン市場は異例の活況を呈しており、米国で上場されている現物ETFがアービトラージ戦略ではなく、純粋なディレクショナル戦略に採用されつつあることを示唆している。
データソースであるFarside Investorsによると、11月20日以降、ビットコインETFは連日、11月25日と26日を除いて力強い上昇を見せ、30億ドル以上の純流入を獲得している。12月3日には、ブラックロック(BlackRock)の「IBIT」が6億9330万ドルと、同期間でも最大の純流入を記録し、純流入の合計は328億ドルに達した。
一方、データソースのGlassnodeによると、CME先物の建玉は、ほぼ3万BTC(30億ドル)減少し、18万5485BTCとなった。
このような乖離は異例で、市場参加者が価格中立的なキャッシュ・アンド・キャリー戦略の一環としてではなく、完全な強気の一手としてETFを購入していることの表れかもしれない。
米国でビットコインETFが1月にデビューして以来、機関投資家は主にETFのロング・ポジションとCME先物のショート・ポジションを組み合わせる戦略を立てるためにETFを利用してきた。
これら2つの相反するポジションを組み合わせることで、価格変動リスクを回避しながら先物プレミアムを享受できる。そのため、ETFへの資金流入とCMEの建玉は連動して動く傾向がある。
キャリー利回りは依然として魅力的
キャリー戦略は依然として魅力的であり、米国10年債やイーサリアム(ETH)のステーキング利回りよりもはるかに魅力的なリターンを提供している。
当記事執筆時点では、CMEのビットコイン先物の年率換算3カ月ベースは16%だった。言い換えれば、キャッシュ・アンド・キャリー取引を行えば、今年100%以上上昇しているビットコインを実際に保有するには程遠いものの、16%の利益を得ることができるということだ。
先物プレミアムで表されるキャッシュ・アンド・キャリー利回りは、第1四半期に20%を超えてピークに達した。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:シカゴ・マーカンタイル取引所での先物建玉(Glassnode)
|原文:Recent Inflows Into Spot Bitcoin ETFs Could Be Purely Directional Plays: Van Straten