国連安全保障理事会の北朝鮮に対する制裁委員会の四半期報告書によれば、北朝鮮はマネーロンダリングのために香港を拠点としたブロックチェーン企業を利用していた。
韓国の新聞「朝鮮日報」で報じられた通り北朝鮮は、盗んだ仮想通貨をマネーロンダリングすることによって国際的制裁を回避するために、ブロックチェーンプラットフォーム上で運営されているマリーン・チャイナ(Marine China)と呼ばれる配送・ロジスティック企業を利用していた。
トニー・ウォーカー(Tony Walker)という偽名を持つジュリアン・キム(Julian Kim)という男性が、マリーン・チャイナの単独のオーナー兼投資家であり、複数回にわたってシンガポールの銀行から資金を引き出そうとした、と報告書には記されている。朝鮮日報によれば、同社に関連した別の匿名の人物も関与していたこのマネーロンダリングの企みでは、盗まれた仮想通貨の出所を分かりにくくするために、複数の国で5000回を超えるトランザクションを通じて、盗まれた仮想通貨を移動させていた。
報告書にはさらに、北朝鮮が標的型の「スピアフィッシング」攻撃を展開してきた、とも記されている。過去の国連報告書によれば、ここ3年間の間に17カ国が北朝鮮のハッキング専門家の標的となり、被害額は20億ドル(2180億円)を超えるが、北朝鮮側はこの疑惑を否定している。
朝鮮日報はさらに、盗まれたビットコインを平壌にある金日成総合大学にあるサーバーへと移すために使われた悪質なコードの開発にも報告書が言及していることを伝えた。
北朝鮮に対する国連やその他国際機関からの厳しい制裁は、北朝鮮の政権を徐々に仮想通貨へと向かわせてきた。デジタルメディア「バイス(Vice)」は2019年9月、北朝鮮が国際的制裁を回避するために、ビットコインに似た性質を持つ独自の仮想通貨を開発していると報じた。
翻訳:山口晶子
編集:T. Minamoto
写真:North Korea image via Shutterstock
原文:North Korea Set Up a Blockchain Firm to Launder Cash: UN