- 暗号資産(仮想通貨)プロトコル「Uranium.io」は、テゾス(Tezos)ネットワーク上で、酸化ウランの現物に裏付けられたトークン化ウランのマーケットプレイスを立ち上げた。
- ウラン現物は、カナダのウラン採掘大手、カメコ(Cameco)が保管し、英国の規制下にある暗号資産会社アーチャックス(Archax)と、ウラン取引会社カーゾンウラン(Curzon Uranium)がトークン化をサポートする。
原子力エネルギーは再び人気を集めており、新しいブロックチェーンベースのマーケットプレイスが、個人投資家にトークン化を通じてウランへの投資アクセスを提供することでそのトレンドに乗ろうとしている。
ロンドンを拠点とするテゾスエコシステム開発会社トリリテック(Trilitech)は12月3日、「Uranium.io」を立ち上げ、「イエローケーキ」とも呼ばれるウラン酸化物U3O8に裏付けられたトークンを提供する。
このアプリは、テゾス上にあるEVM(イーサリアム・バーチャル・マシン)互換レイヤー2ネットワーク「Etherlink」上で開発された。原資産のカストディとトークン作成は、英国の規制下にあるデジタル資産会社アーチャックスが行い、ウラン現物は、ウラン採掘大手カメコが保管・管理している。
トークン化された現実資産(RWA)は、急速に成長する暗号資産市場の一分野であり、暗号資産企業やグローバルな金融機関が、コモディティなどの伝統的な投資をブロックチェーンに持ち込んでいる。取引コストの削減、決済の迅速化、そして幅広い投資家層の獲得が狙いだ。
デジタルトークンは、原資産の所有権を表す。例えば、HSBCは今年、トークン化された金を香港の個人投資家向けに提供している。
ウランは、需要が高まる原子力発電所の燃料となる貴重な金属だ。しかし、ウラン市場は断片化されており、取引はOTC(相対取引)デスクに集中、個人投資家の選択肢は少ないとトリテックのディレクターでテゾスブロックチェーンの共同創設者、アーサー・ブライトマン(Arthur Breitman)氏はCoinDeskのインタビューで述べた。所有権を表すトークンをブロックチェーンに乗せることで、摩擦は減り、一般投資家が参加しやすくなると同氏は付け加えた。
「原子力発電が復活しつつある今、これはとりわけエキサイティングだ」とブライトマン氏。
ウラン取引をブロックチェーン上で行う試みはこれが初めてではない。昨年、「Uranium3o8」と呼ばれるプロジェクトが、採掘企業との契約に裏付けられたウラン連動型トークンをDEX(分散型暗号資産取引所)のユニスワップ(Uniswap)でローンチした。
しかし、このプロジェクトはウラントレーダーからのフィードバックを受けて、当初の仕組みからピボットし、ローンチから数カ月後に取引ペアから流動性を排除したと広報担当者はCoinDeskに語った。これによってトークン価格はゼロに下落。これは、RWAトークン化の難しさを浮き彫りにしている。
トークンの価値を現物ウランで確実に裏付けるため、Uranium.ioはカメコに約160万オンスの酸化ウランを備蓄したとブライトマン氏は語った。一方、商品取引会社のカーゾンウランもウラン一次市場へのアクセスを提供している。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:Shutterstock
|原文:Tokenized Uranium Goes Live on the Tezos Blockchain with Archax, Cameco Involved