- ハイパーリキッド(HyperLiquid)のイーサリアム(ETH)パーペチュアル(無期限先物)は今週、ビットコイン(BTC)よりも多くの取引高を記録した。
- ハイパーリキッドの誕生以来のパーペチュアル総取引高は5000億ドル(約77兆円、1ドル=154円換算)の大台を超えた。
- HYPEトークンは2週間で300%以上急騰し、今やアーベ(AAVE)、レイディウム(RAY)、ジュピター(JUP)などよりも大きな時価総額を誇っている。
マイルストーンを達成しているのはビットコインだけではない。カスタムビルドのレイヤー1ブロックチェーン上で稼働する、有数のオンチェーンパーペチュアル取引プロトコル「ハイパーリキッド」は、プラットフォーム上でビットコインよりもイーサリアムのアクティビティが多くなるという印象的な記録を打ち立てている。
DefiLlamaによると、同プラットフォーム上の累積パーペチュアル取引高は5000億ドルを超え、年初来15倍という驚異的な上昇を記録している。
このプラットフォームでは、過去7日間で1日平均50億ドル以上の取引高があり、過去24時間のオンチェーンパーペチュアル市場の総アクティビティの45%以上を占めている。
さらに興味深いのは、ビットコインではなくイーサリアムが今週の活況を牽引していることだ。12月9日以来、イーサリアムのパーペチュアル取引は70億ドルの累積取引高を記録している。データ・ソースのstats.hyperliquid.xyzによると、これはビットコインの59億4000万ドルよりも18%多い。
イーサリアムはまた、11月下旬以降、同プラットフォーム上の累積想定建玉の伸びもリードしている。当記事執筆時点では、8億5750万ドル相当のイーサリアムパーペチュアルがアクティブで、建玉総額34億9000万ドルの25%近くを占めている。
ハイパーリキッドにおけるイーサリアム取引の活発化は、時価総額で2番目に大きい暗号資産(仮想通貨)であるイーサリアムの次の上昇を促進するかもしれない粘着性の高い資本を象徴している。
CoinDeskのデータによると、当記事執筆時点でイーサリアムは3900ドル、年初来の上昇率は70%に達している。
ハイパーリキッドの活況は、同プロトコルが一般的な汎用チェーンではなく、目的に特化したプロトコルであることに起因していると、一部の観測筋は述べている。
「ハイパーリキッドの成功は、機関投資家レベルのパフォーマンスと、KYC(本人確認)要件がないといったDeFiのアクセシビリティを融合させ、プロダクト・マーケット・フィットを優先させたことに根差しているようだ。アクティブなトレーダーにより気前の良いインセンティブを提供することで、ハイパーリキッドはユーザーのニーズに密接に寄り添い、将来の暗号資産プロジェクトの新しい基準となる可能性がある」とアルゴリズム取引会社ウィンターミュート(Wintermute)は指摘している。
HYPEはAAVEを凌ぐ
市場の動きといえば、ハイパーリキッドのネイティブトークンで、誕生からわずか2週間のHYPEトークンはすでに大人気を博している。
データソースのCoingeckoによると、同トークンは登場以来300%以上急騰し、時価総額は56億9000万ドルに急上昇。これは、イーサリアムの主要レンディングプロトコル「アーベ(Aave)」や、ソラナベースの分散型取引所レイディウム(Raydium)、ジュピター(Jupiter)のような老舗のDeFiプレーヤーのネイティブトークンの時価総額よりも大きい。
ウィンターミュートによれば、記録的なエアドロップ後の持続的な強気の動きは、投資家の自信の表れだという。
「エアドロップの受け取り手から大きな売り圧力がかかる可能性があったにもかかわらず、HYPEに対する持続的な需要は一貫して供給を上回っており、市場の信頼が強固であることを示している」とウィンターミュートは指摘する。
ハイパーリキッドは11月29日、10億近いHYPEの供給量の31%を取引活動で獲得したポイントを保有するユーザーにエアドロップした。このエアドロップの評価額は19億ドルで、レイヤー2ソリューション、アービトラム(Arbitrum)の評価額15億ドルを上回った。
HYPEは、ハイパーリキッドの「HyperBFT」コンセンサスメカニズムの安全を確保するためのステーキングアセットとして使用され、取引やスマートコントラクトの実行を促進するガス代(取引手数料)トークンとしても機能する。
|翻訳・編集:山口晶子
|画像:ハイパーリキッドでのパーペチュアル累計取引高(DefiLlama)
|原文:Ether Volume Overshadows Bitcoin on HyperLiquid as Platform Activity Hits $500B