コインベース(Coinbase)は、イーサリアムブロックチェーン上の主要なビットコイン(BTC)代替資産であるラップド・ビットコイン(wBTC)が「ジャスティン・サン(Justin Sun)氏の手に渡る」という「容認できないリスクのため」上場廃止にすると、17日に発表した。この発表は、上場廃止の決定をめぐる訴訟への対応のなかで行われた。
コインベースが11月に発表したwBTCの廃止について、市場観測筋は以前から行間を読んでいた。当時、同取引所は具体的な説明を避け、上場基準を理由として挙げていた。先週、wBTCの発行元であるビットグローバル(BiT Global)は、同取引所が競合資産であるcbBTCを不当に優遇しているとして、広範囲に及ぶ訴訟を起こした。
だが、コインベースは25ページに及ぶ回答書で、この決定は、暗号資産の億万長者でトロンブロックチェーンの創設者であり、米国で詐欺と市場操作の容疑でも告発されているジャスティン・サン氏と完全に関係していると述べた。同取引所の提出書類によると、サン氏は8月に発表されたパートナーシップを通じてwBTCと関係を持つようになった。
「コインベースは業界の他の多くの企業と同様に、サン氏の関与を考慮し、ビットグローバルが信頼できる管理者になれるかどうかについて深刻な疑問を抱いていた」と同取引所は述べている。
ビットグローバルは回答を拒否
パートナーシップが発表されたあと、コインベースはwBTCの精査を開始した。同取引所はビットグローバルにwBTCの所有権とサン氏の関与の疑惑について質問したが、同社は回答を「拒否」したと、同取引所の提出書類に記されている。
「デューデリジェンスの結果、サン氏がwBTCに関与し、支配する可能性があることは、当社の顧客と取引所の信頼性に容認できないリスクをもたらすと結論づけた」と申請書類で述べた。
サン氏がビットグローバルに関与しているかどうかは依然として不明だ。同社の弁護士は、コメントの要請にすぐには応じなかった。トロンの代理人もコメントしなかった。
だが、単につながりがあるように見えるだけで、コインベースは恐れをなして関係を断つに至ったと同取引所は述べた。
「ビットグローバルの主張を支持する法律は存在せず、詐欺と市場操作の疑いを長く持たれてきた個人とつながりのある資産をコインベースの取引所でホストすることを義務づける法律も、間違いなく存在しない」と提出書類に記載されている。
|翻訳・編集:廣瀬優香
|画像:トロン創設者のジャスティン・サン氏(Danny Nelson/CoinDesk)
|原文:Coinbase Says It Nixed wBTC Because Justin Sun Posed ‘Unacceptable Risk’