自民・公明の両党は20日午後、2025年度与党税制改正大綱を決定する。それに先立ち午前に自民党税制調査会総会が開かれ、大綱を了承した。
税制改正大綱は毎年年末に与党が取りまとめ、来年早々の国会で審議され、改正は概ね来年度から実施される。つまり、2024年末の税制改正大綱に盛り込まれたものは、2025年度から実施される可能性が高い。
暗号資産の税制改正は、過去2年連続で期末時価評価課税の見直しが実現したが、業界、さらには自民党web3プロジェクトチーム(web3PT)がホワイトペーパーで「ただちに対処すべき論点」としていた暗号資産取引による損益の申告分離課税は、税制改正大綱には盛り込まれなかった。
今回、課税の見直し自体が盛り込まれたわけではないが、「暗号資産取引に係る課税については、一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ、(中略)その見直しを検討する」と記されたことは、見直しに向けた明確な一歩となる。
19日は、自民党デジタル社会推進本部と金融調査会が「暗号資産を国民経済に資する資産とするための緊急提言」を公表していた。
仮に2025年末の税制改正大綱に取引に係る課税の見直しが盛り込まれれば、2026年度から分離課税が実現する可能性は高まる。
ただし、1点、注目すべきは上記の文章に「一定の暗号資産を広く国民の資産形成に資する金融商品として業法の中で位置づけ」とあることだ。
現在、金融庁で暗号資産についての規制枠組みを、現行の資金決済法から金融商品取引法(金商法)での規制とすることが検討されている。関係者によると、その際にはすべての暗号資産ではなく、金融商品にふさわしい暗号資産に限って金商法での規制に移行することが検討されているという。上記の文章はそれを裏付けるものと見ることができる。
つまり、申告分離課税については、すべての暗号資産ではなく、まずは限られた一部の暗号資産のみでの実現となる可能性が高い。
|文:CoinDesk JAPAN編集部
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