カナダのトルドー首相が退任を表明、暗号資産の可能性が開ける
  • カナダ政府のトップであるジャスティン・トルドー首相が、10年近くの在任期間に幕を閉じ、まもなく退任する。
  • トルドー首相は、カナダにおけるデジタル資産に対する連邦政府の抵抗勢力の一部と見られてきたため、州政府がより支配的な立場にあるとは言え、デジタル資産により友好的な後任は暗号資産(仮想通貨)にとってプラスとなるかもしれない。

カナダのジャスティン・トルドー首相が1月6日に退陣を表明したことで、暗号資産に対する抵抗力の弱い政府への道が開けるかもしれない。ただし、カナダのデジタル資産の将来を決定する上で主導的な役割を担っているのは州政府である。

「党が新しい党首を選出した後、私は党首、そして首相を辞任するつもりである」とトルドー氏は記者会見で述べた。統治を混乱させる「党内抗争」を理由に挙げ、「リベラルのスタンダードを次の選挙で担うのに、私が最善ではない」と語った。

トルドー首相は、11年間務めた自由党党首の座と、2015年から務めた首相の座を離れると述べた。暗号資産コミュニティにおいてトルドー首相に批判的な人たちは、2022年の「フリーダム・コンボイ」抗議活動時のデジタルウォレットに対する政府の制裁を糾弾していた。

政府による暗号資産口座の凍結はカナダ国外にも波紋を広げ、2024年の選挙中には米国共和党議員の間でのスローガンのひとつともなった。彼らは、暗号資産取引への政府の介入を可能にするかもしれない中央銀行デジタル通貨(CBDC)を許可する危険性の主要な例として、その時の制裁を挙げたのだ。

カナダでは総選挙が10月に迫っているが、世論調査によれば、保守党のピエール・ポワリエーヴル氏が強力な優位に立っている。ポワリエーヴル氏はまた、ドナルド・トランプ次期米大統領の支持者の多くからも、国境を越えた支持を獲得している。

ポワリエーヴル氏は過去にはデジタル資産の支持を声高に唱えていたが、最近ではこの話題については比較的静かである。

しかし、カナダでは証券は州の管轄であり、米国証券取引委員会(SEC)のような国の証券監督機関は存在しないため、カナダ自由党の次期党首(つまり首相)、またはポワリエーヴル氏が持ち得る影響力は限られている。

その代わり、各州の規制当局で構成される包括的な規制機関であるカナダ証券管理局(CSA)が、暗号資産の次の展開についてより多くの発言権を持つことになる。

トルドー首相の後任候補の一人はマーク・カーニー氏である(まだ党首選が始まっていないため、彼は正式に立候補を表明していない)。カナダ銀行から採用されたカーニー氏は、元イングランド銀行総裁で、暗号資産とステーブルコインについて多くのことを語っていた。

「プログラム可能なネットワークの核となるトークンはただそのまま、価値のトークンであり続けなければならない」と、カーニー氏は2021年に国際決済銀行で行われた講演で語った。

カーニー氏はまた、高度に規制されたものだけが、ステーブルコインが成功する唯一の形であり、厳格に規制された場合、「CBDCと何が異なるのだろうか?」とも述べた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:カナダのトルドー首相(paparazzza / Shutterstock.com)
|原文:Trudeau’s Departure in Canada Opens Possibilities for Crypto