ステーブルコインの新事業、不正流出事件の影響で一時停止か:データチェーン

Datachain(データチェーン)の親会社Speee(スピー)は1月10日、「電子決済手段(ステーブルコイン)関連事業の準備状況について」と題した適時開示を行った。

その中で、Datachainは「共同開発パートナーと共に2024年中の準備を進めておりました電子決済手段(ステーブルコイン、以下「SC」)関連事業について、昨年における暗号資産の不正流出に関する他社の報道を受け、当局との行政手続き、セキュリティ面の確認および関係者間での合意形成を十分に行う必要が生じております」と記した。

適時開示では社名はあげられていないが、Datachainは、Progmat(プログマ)のステーブルコイン発行基盤「Progmat Coin」の開発に関与している。2024年9月、両社は同基盤を使って発行予定のステーブルコインを用いた決済プロダクトが実運用に向けた開発フェーズに移行したと発表していた。

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国内でのステーブルコインは、世界に先駆けた法規制の整備を受けて、2024年の登場が期待されていた。これも適時開示では具体的に指摘されていないものの、5月に発生したDMMビットコインの約500億円弱のビットコイン流失事件の影響は大きかったようだ。

適時開示は「当該事案に起因する影響がないことを改めて確認した上で、事業開始を目指してまいります」とし、「なお、Datachainが共同開発者として参画したSC関連システムについては、当初の予定通り2024年内に完成しております」と続けている。

適時開示の詳細について、Speeeに取材を試みているが現時点ではまだ連絡が取れていない。Speeeの株価は適時開示を受け、午後に下落している。

|文:増田隆幸
|画像:Shutterstock