- 21シェアーズは、インフレ懸念の緩和により、トランプ次期大統領の就任式が近づくにつれてビットコインが過去最高値を更新する可能性が高まると述べた。
- Two Primeは、就任初日に戦略的ビットコイン準備の創設の可能性を示唆して非対称的な価格発見が起こる可能性が高いと指摘した。
- マーケットメーカーのWincentは、BTCを含む主要コインの価格変動が10%になると予想している。
暗号資産(仮想通貨)トレーダーたちは再び楽観的になっている。暗号資産支持派であるドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領の就任式を1月20日に控え、ビットコイン(BTC)が記録的高値を更新するという見通しからだ。
時価総額で最大の暗号資産であるビットコインの価格は、9万ドルを下回った13日の安値から11%上昇した。過去24時間で3%近く上昇し、一時10万ドルを突破したことがCoinDeskのデータで示されている。
10万ドルの大台に乗ったことで、より幅広い市場でリスクテイクが活発化し、予想を下回るコアCPI(消費者物価指数)の発表を受けて、価格を押し下げていたタカ派的なアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)による懸念が和らいだ。代わりに市場は、トランプ氏の就任式と、就任初日に発表される可能性のある暗号資産に好意的な発表に注目している。
「インフレ懸念の解消により、トランプ大統領就任前にビットコインが10万ドルの強力な抵抗線を突破する道が開けた」と、21シェアーズ(21Shares)の暗号資産リサーチストラテジスト、マット・メナ(Matt Mena)氏は電子メールで述べた。「このようなマイルストーンは心理的な意味だけでなく、技術的な意味でも重要であり、ビットコインが10万8000ドルの史上最高値を突破し、市場の楽観論が高まる中で新たな記録レベルを樹立する準備が整うだろう」と述べた。21シェアーズは、世界最大級の暗号資産上場投資商品(ETP)の発行者の1つだ。
「トランプ氏の成長促進政策への支持と資産価格上昇を好むという実績は、ビットコインとより広範なリスク資産に対する強気な見通しをさらに強固なものにする」とメナ氏は述べている。
強気の予測は、特に15日に2%以上急騰したナスダック100(NASDAQ 100)など、伝統的な資産の上昇と一致している。BTCは最近、ハイテク株中心のこの指数との正の相関を2年ぶりの強さにまで高めている。
一方、主要な法定通貨に対するドルの価値を測るドル指数(DXY)は失速しており、リスク資産に活路をもたらし、S&P 500は重要な水準である6000に近づいている。
メナ氏によると、6000を上回れば「世界的な資産の強気相場の次の段階の舞台が整う」可能性があるという。
暗号資産に対して懐疑的だったトランプ氏は、11月の選挙までの数カ月間で暗号資産コミュニティを取り込み、国家戦略としてのビットコイン備蓄の創設を公約した。彼は勝利し、BTCを7万ドルから10万8000ドル以上に押し上げるのに貢献した。
「トランプ氏が就任初日に戦略的ビットコイン準備の創設を表明すれば、たとえ初日に署名しなかったとしても、価格形成に非対称性が生じるだろう」と、Two Prime Digital Assetsの最高投資責任者(CIO)であるネイサン・コックス(Nathan Cox)氏は電子メールで述べた。「10万8000ドルというこれまでの最高値を一度超えれば、ビットコイン準備戦略が世界的に持つ比類のない需要を考慮すると、その拡大速度に上限はないだろう」。
Two Primeは、証券取引委員会(SEC)の規制下にある登録投資顧問業者で、暗号資産デリバティブを専門としている。
ボラティリティの高まりが予想される
暗号資産マーケットメーカー、ウィンセント(Wincent)のシニア・ディレクターであるポール・ハワード(Paul Howard)氏は、暗号資産業界の規制、銀行規則、戦略的ビットコイン準備の創設に関して行われるであろう発表は、まだ完全に価格に織り込まれてはいないと述べた。
「アメリカで政権が交代する今週は変動の激しい週になるだろう。BTC、ソラナ(SOL)、イーサリアム(ETH)、エックス・アール・ピー(XRP)などの主要通貨で10%前後の変動が予想される。次期大統領による発表が価格に反映されると思われることから、現在の価格にすべて織り込まれているわけではない」とハワード氏は述べた。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Danny Nelson/CoinDesk
|原文:Bitcoin Poised to Top Record as Trump Inauguration Nears, Major Coins Due for 10% Swings: Traders