- 取引プラットフォームのeToroが、ニューヨーク証券取引所でIPOを行う申請を行い、50億ドルの評価額を目指している。
- 成功すれば、同社は暗号資産取引を提供する数少ない上場企業の一つとなる。
- 2021年に104億ドルのSPAC取引を通じて上場を試みたが、不利な市場環境により失敗に終わった。
個人投資家向けの株式および暗号資産(仮想通貨)取引プラットフォームであるeToroが、ニューヨーク証券取引所でIPOを実施しようとしている。フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が、米証券取引委員会(SEC)への非公開申請を引用して報じた。
フィナンシャル・タイムズによると、早ければ第2四半期に行われる可能性のあるこのIPOにより、eToroの評価額は50億ドル(約7750億円、約150円換算)以上になる可能性がある。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、ジェフリーズ(Jefferies)、UBSが同社への助言を行っている。
成功すれば、eToroはコインベース(Coinbase)やロビンフッド(Robinhood)に続き、アメリカで暗号資産取引を提供する数少ない上場企業の一つとなる。ただし、規模はこの2社よりもはるかに小さい。コインベースの時価総額は690億ドル、ロビンフッドは400億ドルだ。
この評価額は、2021年に特別目的買収会社(SPAC)との104億ドルの取引を通じて上場を計画していた際の水準の半分以下となる。この試みは、2022年後半に不利な市場環境の結果として断念された。
フィナンシャル・タイムズによると、eToroは評価額が急落する中、2023年に35億ドルの評価額でソフトバンク(SoftBank)を含む投資家から2億5000万ドルの資金を確保した。その後、株式市場と暗号資産市場の回復に伴い、またSECの告発をめぐり150万ドル(約2億3250万円)を支払って和解することに同意した後、評価額は上昇している。この告発では、eToroが無登録のブローカーおよび無登録の清算機関として運営され、一部の暗号資産の証券としての取引を促進したとされていた。
eToroの暗号資産取引量は不明だが、Finance Magnatesは昨年、11月末までの1年間で500%以上急増したと報じた。
2007年にイスラエルで設立されたeToroは、顧客300万人以上の資産113億ドル(約1兆7515億円)を運用していると報じられている。これらの資産には、暗号資産だけでなく株式やETF(上場投資信託)も含まれる。
昨年のSECとの和解の結果、eToroはアメリカでは複数の暗号資産の取引を中止することに同意し、同国のユーザーが可能な取引はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)に制限された。
同社はコメント要請に応じていない。
|翻訳・編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:EToro, Crypto-Friendly Trading Platform, Files for U.S. IPO