コインベース、モルフォを通じてビットコイン担保ローンを提供へ
  • 暗号資産取引所コインベースが、モルフォのプラットフォームを通じて自社のアメリカ向けの商品にビットコイン担保ローンを追加する。
  • 借り手は信用スコアに依存するのではなく、相当量の担保を提供して利用する。
  • この新しい仕組みは、コインベースのフライホイールを各段階で促進する。

暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)は、自社のアメリカ向け商品ラインナップにビットコイン担保ローンを追加する。自社のベース(Base)ネットワーク上の最大の貸付プラットフォームであるモルフォ(Morpho)を活用して、成長中のオンチェーン経済に注目と資金を集めようとしている。

この貸付商品は全く新しいものというわけではない。ベースネットワークを使うことに慣れているユーザーは、長らくモルフォや他の分散型金融(DeFi)サービスを通じてビットコイン(BTC)を担保にUSDコイン(USDC)を借りることができた。ここで新しいのはアクセスが簡単である点だ。コインベースは、モルフォの借入帳簿を自社の広く普及したユーザーインターフェースに組み込み、重要な参入障壁を取り除いている。

コインベースの消費者製品担当責任者であるマックス・ブランズバーグ(Max Branzburg)氏は、「これは、コインベースがオンチェーンに進出し、数十億ドルを抱える数百万人のユーザーを引き連れて来るという旗を立てる瞬間だ」と述べた。

オンチェーン業界での個人ローンは、銀行や貸し手が提供する主流の貸付取引とは根本的に異なる。通常の経済の中核を担うこれらの機関は、借り手の信用スコアに基づいてローンを締結するかどうか判断し、その条件を決定する。ローンが担保付きであるかは無関係だ。

しかし、信用スコアは暗号資産(仮想通貨)の世界では存在しない。モルフォのようなプラットフォームは、借り手にどれだけ返済能力があるかを推測する必要がない。代わりに、借り手に十分な担保を提供することを要求する。実際、借りようとする金額よりもはるかに多くの担保を要求する。この仕組みによって、プラットフォームは債務不履行者に由来する不良債権を抱えることから守られる。

コインベースの仕組みでは、各借入を10万ドル(約1550万円、1ドル155円換算)のUSDコインに制限している。この金額を借りるには、顧客はそれ以上の金額のビットコインを担保として提供する必要がある。ローン対価値比率が危険な水準に近づくと、モルフォは担保の清算を開始する。

ブランズバーグ氏は、「価格変動が危険な水準に達しそうな場合、コインベースアプリを通じて清算警告を出し、ユーザーが認識・行動できるようにする」と述べた。

現金を借りることはすべての金融サービスの基礎にあるが、売りたくないトークンの宝庫を抱えていることが多い暗号資産トレーダーにとっては特に魅力的だ。こうしたトレーダーはエアドロップの獲得や他のリスクの高い取引の資金調達のためにローンを利用することがよくある。コインベースの見解では、モルフォが仲介するローンは、借り手がより高尚とみなされるかもしれない行為、例えば車の購入や住宅費用の支払いなどに利用できる可能性がある。

内部的には、この新しい仕組みは各段階でコインベースのフライホイールを促進する。まず、この新サービスはコインベースのフロントエンドに新しい機能を追加する。次に、ビットコイン担保を提供するユーザーは、cbBTC(ベースネットワーク上のコインベースのラップドビットコイン)を発行し、USDコイン(コインベースのステーブルコイン)を借りる。第三に、これらすべてがベース(コインベースのレイヤー2ネットワーク)上のモルフォ(コインベースが資金提供する貸付プラットフォーム)で行われる。

|翻訳・編集:林理南
|画像:David Friedman
|原文:Coinbase to Offer Bitcoin-Backed Loans Through Morpho