デジタル人民元、個人情報の完全管理求めず──追跡能力は保持する意向

中国が発行を準備している新しいスターブルコイン・プロジェクトはプライバシー保護と規制の執行を両立させるべきと中国のデジタル通貨研究所(Digital Currency Research Institute)は11月12日(現地時間)に語った。

デジタル通貨研究所は中国人民銀行(PBOC)の決済部門の中の組織。

シンガポールでのカンファレンスで、穆長春所長は中央銀行はユーザーの個人情報の完全な管理を求めていないが、情報に関する当局のニーズを満たしていると語った。ロイターが伝えた

「我々は国民の求めているものが、紙幣や硬貨を使うことで匿名性を維持することと理解している。(中略)我々は、それを望む人々には取引における匿名性を提供する」と穆所長は述べた。

「だが同時に、我々は『管理可能な匿名性』と、アンチマネーロンダリング、テロ資金供与対策(CTF)、税金問題、オンライン・ギャンブル、その他の電子犯罪行為とのバランスを維持する」

中国のデジタル通貨は、仮想通貨・ブロックチェーン界隈の意見を二分している。

ビットコインに似た通貨システムを採用した、世界で最も人口が多い国での有益な検証作業と見る人もいれば、当局による監視と管理を懸念する人もいる。

中国人民銀行は、現金と同じレベルのプライバシーを保証するが、仮にマネーロンダリングのような違法行為の疑いがあれば、ユーザーを追跡できる能力を保持していると認めた。

「これは我々が維持しなければならないバランスであり、我々のゴール。我々は国民の情報を完全な管理を求めていない」と穆所長は述べた。

翻訳:下和田 里咲
編集:増田隆幸
写真:Chinese yuan image via Shutterstock
原文:China Central Bank Official: Digital Yuan Should Have ‘Controllable Anonymity’