米国土安全保障省、ブロックチェーンを使って石油を追跡──カナダ企業と契約

アメリカ国土安全保障省(U.S. Department of Homeland Security:DHS)は国境を超えた石油追跡プラットフォームを構築するために、カナダのブロックチェーン企業「Mavennet」と契約を結んでいる。

DHSのサイエンス&テクノロジー総局およびDHSシリコンバレー・イノベーション・プログラム(SVIP)からの資金による18万2700ドル(約2000万円)の契約で、MavennetはDHSカスタム&ボーダー・プロテクション(CBP)部門がカナダ国境で使用する既存の石油追跡プラットフォームを改良する。

プロジェクトは国境を超えた巨大な輸入市場をターゲットにしている。政府のデータによると、アメリカはカナダにとって最大の石油輸入国。2019年上半期、1カ月あたり少なくとも1200万バレルの原油がアメリカからカナダへ移動した。

しかし、Mavennetがそうした広大な市場をカバーするには数年かかる。同社はこの初期の資金を使って、CBPのための概念実証のデモンストレーションを構築し、SVIPの第4フェーズと最終フェーズにおいて、最大2年間のデモンストレーションとパイロット・プログラムを継続する。

Mavennetのパトリック・マンディック(Patrick Mandic)CEOは、同社は2015年からこの分野に取り組んでいるとCoinDeskに語った。例えば、トロント・モントリオール取引所(Toronto Montreal Exchange)向けにオンチェーンの天然ガスプラットフォームを開発した。同氏は、今回の国土安全保障省のプロジェクトは業界をより発展させると語った。

「このプロジェクトは石油・ガス業界で強く求められているデジタル・トランスフォーメーションを支援する強力な根幹であり、それは我々が求めている全体像だ」

SVIPのテクニカル・ディレクター、アニル・ジョン(Anil John)氏は声明の中で、Mavennetプラットフォームの「デジタル監査可能性」はウェブベースのID基準が発展を続けるなか、重要なものになり得ると述べた。

「アメリカ – カナダ間のパイプラインと精製での石油の流れの証拠を正確に追跡し、石油輸入を正確な組成と原産国に紐付けることは、CBPにとって大きな関心事」とジョン氏。

今回の投資はブロックチェーン分野でのSVIPの最新の取り組み。以前には、R&Dに特化した資金から、ブロックチェーンで保護されたカメラとセンサーを国境沿いに展開するために、テキサス州を拠点とするファクトム(Factom)に約20万ドル(2170万円)を授与した。

翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Pipeline image via Shutterstock
原文:US Homeland Security Taps Canadian Blockchain Firm to Track Oil Imports