LINEとZホールディングス、経営統合で協議

ヤフーを傘下に置くZホールディングスとLINEが経営統合に向けた協議を進めているという内容の報道に対して、LINEは14日午前、「検討していることは事実」とする文書を開示。一方、Zホールディングスは、「協議を行なっていることは事実だ」とコメントした。

同報道は11月13日午後に日本経済新聞が報じたもの。日経によると、Zホールディングスと同社の株式の40%以上を保有するソフトバンク、LINEの過半数株式を有する韓国のネイバーは、ソフトバンクとネイバーが50%ずつ出資する共同出資会社を設立し、Zホールディングスの筆頭株主になるという統合案を協議しているという。

LINEは14日付けの開示文書の中で、「企業価値向上のための施策の一つとして検討を進めていることは事実……。当社として決定している事実はございません」と述べた。

早ければ11月中に基本合意か

日経の報道によると、新しく設立する出資会社を上場させ、その傘下にヤフーとLINEが100%子会社としてぶらさがる案が検討されているという。早ければ11月中にも、経営統合の基本合意に至る可能性がある。

メッセージアプリでプラットフォーマーの地位を確立してきたLINEは、金融、eコマース、エンターテインメント、コンテンツ、モバイル送金・決済の分野でもプラットフォームを作り上げようとする戦略を進めている。

LINEはみずほフィナンシャルグループと組み、新たなオンライン銀行の設立を進める一方、野村ホールディングスと共同でLINE証券を設立。国内企業の株式を中心にLINEのアプリを利用して購入できるサービスを始めている。

仮想通貨の取引事業への影響は?

暗号資産領域では、LINEは9月にグループ子会社のLVCを通じて、仮想通貨取引所「BITMAX」の国内運営を始めた。これまで日本とアメリカを除くグローバル展開を続けてきたBITBOXは今年、日本市場に参入した。決済サービスの「LINE Pay」で本人確認をすれば、BITMAXでの本人確認手続きを短縮でき、銀行口座に限らずLINE Payからの入金も可能だ。

LINEの月間アクティブユーザー数は約8200万人で、LINE Payの国内登録ユーザーは約3690万人。巨大なユーザーベースを抱え、BITMAXはどれほど暗号資産の取引事業を拡大できるか注目されている。

一方、Zホールディングスはファンドを通じて、仮想通貨取引所を運営するTaoTaoの株式の70%を保有している。TaoTaoは今年5月、取引所の営業を開始している。ヤフーが運営するサービスのログインユーザーID数は月間で、約5000万件にのぼる。決済サービス「PayPay」の累計ユーザー数は1900万人を超える。

LINEとヤフーを傘下に置くZホールディングスとの経営統合が実現すれば、BITMAXとTaoTaoの事業運営にも影響を与えるのか?TaoTaoの広報担当者は、「LINEとZホールディングスが提携の検討をしているのは事実だが、それ以上は何の確定情報もない」とした上で、今後の影響に関しては分からないとコメントした。

文:佐藤茂
写真:多田圭佑(出澤剛・LINE社長<2019年1月撮影>)
取材協力:小西雄志
(編集部より:Zホールディングスからのコメント、暗号資産領域における両社の取り組みを追記、タイトルを変更し、記事を更新しました)