サークルのUSDC、ステーブルコインの需要急増で過去最高の時価総額約8兆6000億円超を記録
  • サークル(Circle)社が手がけるステーブルコイン、USDコイン(USDC)は、2022年のピークを超え、2023年の銀行危機から回復し、560億ドル(約8兆6000億円、1ドル=154円換算)を超える過去最高の時価総額を記録した。
  • USDCはここ数カ月間で100億ドル以上の供給を追加し、テザー(Tether)社のUSDTの42億ドルの成長を上回っていることがArtemisのデータで示された。
  • ステーブルコインの成長ペースは、12月以降控えめな動きが続いていた後、過去数週間で加速しており、マクロ的な逆風とトークン価格の保ち合いが進むなか、暗号資産(仮想通貨)市場にとって明るい兆しとなっている。

市場で第2位の規模を誇るステーブルコインである、サークルのUSDコインは今週、ステーブルコインの成長が再加速の兆しを見せるなか、560億ドルを超える過去最高の時価総額を記録した。

USDコインは、主にソラナ(Solana)ベースのDeFi取引高の増加によって、過去1カ月で時価総額が102億ドル増加したことが、Artemisのデータで明らかになった。

これは、市場最大のステーブルコインであり、サークルの最大の競合相手であるテザー社のUSDTが同期間に見せた46億ドルの成長の2倍以上である。USDTは依然として、1420億ドルの時価総額でステーブルコイン分野をリードしている。

今回の急成長で、USDCは2022年のピークを超え、暗号資産に深刻な打撃を与えた2023年の米国の地方銀行危機から完全に回復した。サークルは当時、ステーブルコインの準備金の一部をシリコンバレー銀行に預けていたが、同銀行は取り付け騒ぎに見舞われ、USDCは一時的に米ドルとのペッグを失った。多くのトークン保有者がUSDTに逃避し、USDTは2023年5月、早くも2022年のピーク時の時価総額を上回ることになった。

ステーブルコインは、価格が外部資産、主に米ドルに連動した特別なタイプの暗号資産である。USDTとUSDCは暗号資産取引所での取引に広く使用されており、流動性の重要な供給源となっている。したがって、これらのトークンの供給の拡大は、投資家の需要と暗号資産市場全体の健全性を示す重要な指標である。

12月と1月初旬の穏やかな動きの後、USDTとUSDCの成長はここ数週間で加速していることがデータで示されている。昨年10月下旬から12月上旬、2023年10月から2024年4月といったこれまでの成長期は、ビットコイン(BTC)やアルトコイン価格の急騰と期を同じくしていた。

USDTとUSDCの時価総額計(青)とビットコイン価格(橙)の推移(TradingView)

ステーブルコインの成長加速は、暗号資産市場に影響を与える要因のひとつに過ぎないが、マクロ的な逆風が吹き荒れ、トークン価格が保ち合いを続けるなか、市場全体の健全性を示すポジティブなサインとなっている。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:USDCの時価総額(CoinDesk Data)
|原文:Circle’s USDC Hits Record Market Cap Over $56B as Stablecoin Demand Soars