イーサリアムETF、2月は4億ドルの純流入──投資家はBTCよりもETHに注目
  • イーサリアム現物ETFに今月、3億9300万ドルの純流入があったとFarside Investorsは伝えている。
  • ビットコイン現物ETFは3億7600万ドルの純流出となった。
  • 間近に迫る「ペクトラ」アップグレードはETH価格を押し上げる可能性がある。
  • 「ETHは復活のための強固な基盤を持っている」とDerive.xyzのニック・フォースター氏は述べた。

イーサリアム(ETH)が月初に一部の取引所で2000ドルまで急落したことで投資家が離れていくと考えるのであれば、考え直した方がいいだろう。アメリカのETH現物ETF(上場投資信託)の取引状況を見ると、トレーダーがビットコイン(BTC)からETHに大きくシフトしていることが分かる。

Farside Investorsのデータによると、今月、アメリカのイーサリアム現物ETF9銘柄への純流入額は、累計で3億9300万ドル(約589億5000万円、1ドル=150円換算)に達した。この数字は、Glassnodeが報告した1月の流入額の7倍になる。そして注目すべきは、これらのファンドが流出を経験したのはわずか2営業日だったことだ。

一方、11のビットコイン現物ETFは今月、3億7600万ドル(約564億円)の純流出を経験している。センチメントは非常に弱く、これらのファンドが流入を記録したのはわずか4営業日だった。

ETHへの転換は、現物ETFの購入とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物のショートを同時に行うキャリートレードによって推進されている。さらに、ETFへの流入の一部は強気を示している可能性もある。

しかし、投資家はイーサリアムに注目しているが、暗号資産の価格上昇にはつながっていない。

イーサリアムのスマートコントラクトブロックチェーンを動かすETHは、2月3日の暴落以来、2600ドルから2800ドルの間で取引されている。ビットコインも、他の暗号資産の価格が乱高下する中、10万ドルを下回る狭い範囲で推移している。

それでも、一部の観察者は、イーサリアムの迫り来る「ペクトラ」アップグレードを背景にETH価格の上昇を予想している。このアップグレードは、イーサリアムの実行レイヤーとコンセンサスレイヤーの両方を最適化し、ソラナ(Solana)などのレイヤー1のライバルとの競争を支援すると言われている。

「ETHには復活の確かな基盤がある。例えば4月8日に予定されているアップグレード『ペクトラ』は、ネットワークの改善、より高速な取引、より優れたステーキングの仕組みをもたらすだろう」と、分散型オプションプラットフォームDerive.xyzの創設者であるニック・フォースター(Nick Forster)氏は電子メールで述べた。

フォースター氏は、イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏がL1ガスリミットの10倍増を推進していることは、アプリケーション開発とセキュリティの改善を意味すると説明した。さらに、イーサリアム財団が最近、DeFiプロジェクトに1億2000万ドル(約180億円)を割り当てたことは、ETHrealizeを通じて、採用と機関投資家の関心に再び焦点が当てられていることを示している。ヴィヴェク・ラマン(Vivek Raman)氏が率いるETHrealizeは、従来の金融機関をブロックチェーンの世界に統合することを目指している。

「ETHが今四半期の終わりまでに3000ドルを超える確率は、先週の28%から30%に上昇している」と、フォスター氏は付け加えた。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Ether ETFs Register $393M in Inflows This Month as Crypto Investors Turn Their Back on Bitcoin