レンディング・プロトコルを手がける「コンパウンド・ファイナンス(Compound Finance)」は、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)のファンド「a16z crypto」が主導した投資ラウンドで2500万ドル(約27億円)を調達、DeFi(分散型金融)スタートアップへのVC投資としては、これまでで最大級のものとなった。
DeFiスタートアップ
DeFiパルス(DeFi Pulse)によると、コンパンドはその自動システムに1億300万ドル(約110億円)近い仮想通貨を保有し、ユーザーに利息に相当するリターンを生み出している。今回のシリーズAでの資金調達は、2018年のシードラウンドでの820万ドルの調達に続くものだ。
メーカーダオ(MakerDAO)のローンと同じような仕組みで、ユーザーはイーサリアム・ベースのトークンを使って担保付きローンを組むことができる、つまり融資を受けることができる。もし独立した「予言」が価格が低すぎると判断すれば、資産は自動的に清算される。
メーカーダオのローンと異なるのは、コンパウンドのプロトコルは複数の仮想通貨をサポートし、またユーザーは貸し出しせずに資産を預け入れできること。なぜなら、資産は共有プールに保管され、担保を清算したユーザーでも返済可能ならトークンを要求できる。
コンパウンドの創業者ロバート・レシュナー(Robert Leshner)氏は、これまでのところ「ダイ(DAI)と仮想通貨を大量に保有しているユーザー」が最も利用頻度が高いユーザーと述べた。これは投資家の利益と相関しているようだ。
レシュナー氏は、今回の資金調達によって、同社はプロトコルをさらに「分散化」でき、それによってコインベース(Coinbase)のような仮想通貨取引所とカストディアンはプロトコルをさらに発展させることができると述べた。
「我々は、コンパンドを可能な限り多くのカストディアン、取引所、ウォレット、ブローカーに対応させる計画」と同氏は述べた。
「取引所とカストディアンをプロトコルのインターフェイスとしていく」
マルチコラテラルDAI
レシュナー氏によると、今回のラウンドには、ポリチェーン・キャピタル(Polychain Capital)、パラダイム・キャピタル(Paradigm Capital)、ベイン・キャピタル・ベンチャーズ(Bain Capital Ventures)も参加した。
今のところ、コンパウンドの12人のメンバーは、自社のためのユニークなビジネスモデルを見つけることよりも、現状のインフラを機関投資家が利用できるようにすることに注力しているとレシュナー氏は語った。
「我々のゴールは、我々が管理している非常に限られた機能を今後2年で徐々にコミュニティーに移行すること」と同氏は取引所とカストディアンに触れつつ語った。
「最優先事項は、持続可能なものを構築すること」
同社の将来像が最終的に独自のマネタイズ・サービス、あるいは取引所を作ることか否かにかかわらず、レシュナー氏は次の焦点は11月18日に予定されているマルチコラテラル・ダイをサポートすることと語った。
翻訳:CoinDesk Japan編集部
編集:増田隆幸
写真:Compound founder Robert Leshner image via Vimeo
原文:DeFi Startup Compound Finance Raises $25 Million Series A Led by A16z